映画レビュー/概要

194本目 ゾンビ/Dawn of the Dead Zombie
1978年
監督:ジョージ・A・ロメロ
主演:デビッド・エンゲ
評価:★★★★

アメリカで突如起きた、”死人が生き返る”という現象から3週間が経過した。
生き残った人々は生ける屍からの逃避行を続けていた。

そして、とある一行は、ショッピングモールへと逃げ込むことになり……。




ゾンビ映画名物

ゲームでも映画でも、ゾンビものを取り扱う時に必須となった要素が一つある。
ショッピングモールでの立てこもりである。

この映画はその先駆けであり、後に登場するゾンビ映画群や、ゾンビゲームに多大な影響を与えている。

我々の世界で身近に感じられる建物であり、民家に立てこもるよりも食べ物が豊富であったり、DIYでゾンビを撃退するアイテムなどが作れたりと、開けた空間が幅広い物語を提供してくれる。

色んなバージョンが存在

ディレクターズカット版というのはよく耳にする言葉でしょう。
これは劇場公開時よりも多くシーンが追加されていたり、一部描写を編集したものの意味だ。

『ゾンビ』はヨーロッパ版のようなものであったり、日本のテレビ放送でも勝手に編集されて付け加えられたシーンがあったりと、一度観たという人でも、話をしてみると「そんなシーンあったっけ?」となるからある意味面白い。

そういった意味で、様々なバージョンを観賞するのも、この映画の楽しみの一つと言えるでしょう。

ハッピーエンドになるかどうかはさておき

前作、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』では、明らかに残念な終わり方を迎えた。
今作は希望ある終わり方ではあるが、その工程を見れば非常に意味深である。

『ゾンビ』で本当に恐ろしいのは人間。
これは怪物映画ではよくある話だが、バケモノが溢れる世界になると、人間はそれを超えるバケモノになってしまう。

ショッピングモールで色んなアイテムを手に入れることができる一行は、そのアイテムを使って、ゲームさながらにゾンビを殺してく。
それをまるで楽しんでいるかのように。
そして、死人が溢れて混沌とした世界をいいことに、ニセの警察官となって好き勝手しだす人間も出てくる。

世界が終末に近づくと、人間もバケモノになってしまう。

毎度、ロメロはこういった皮肉をうまいこと描写する。
これがまた、ファンの心を掴んで話さない理由の一つかもしれない。





「なんでこっちに向かってくるの?」

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