映画レビュー/概要

201本目 君の名は。/your name.
2016年
監督:新海誠
キャスト:神木隆之介、上白石萌音
評価:★★★★★

出会うことのない二人の出逢い。少年と少女の奇跡の物語が、いま動き出す。
※君の名は。公式サイトより引用


※ネタバレを含みます!鑑賞後にまたお越しください。


それはまるで、まるで、夢のように……。

黄金の2016年。
話は、鳴海が『シン・ゴジラ』で発狂していた時から始まる。
この年の映画は豊作という言葉すら安く思えるほど、映画史に残る作品ばかりが放映されていた。
鳴海はそんな2016年の映画に歓喜していた真っ只中。
シン・ゴジラ』のリピートにリピートを重ねていくうちに、夏から秋へと季節が移ろいだしていった。
そんな中、一つのタイトルが鳴海の耳に入る。

『君の名は。』

新海誠監督のことは、『秒速5センチメートル』で知っていた。
その作品のイラストの美しさ、恋人たちの悲哀など、鳴海にとって痛烈な印象を残していたクリエイターの一人である。

あまりにも『シン・ゴジラ』のIMAX上映が面白すぎて、今年の映画はこれ以上何も感じることなく終わっていくんだろう。
そう、思っていた。

来る9月。

ユナイテッド・シネマのポイントが腐るほど余っていた鳴海は、そのポイントを利用して観賞しに行くことにした。
正直なところ、一切の期待は持ち合わせていなかったのである。
というのも、こういった映画は家で見ても十分に楽しめるし、「これは面白いのかな?」と疑心暗鬼になるくらいであったら、間違いなくマイナスにはならないであろうアクション映画などを見た方が有意義だと考えているからだ。

そんなことを思いつつも、映画館へと向かった鳴海。
その時は毎週最低一回は映画館に行っていたはずである。どんだけ行ってんだ。

そして『君の名は。』を観る。

その映画はまるで、まるで、夢のように、ただひたすらに、美しい作品であった。

開始から脳裏に焼き付くテンポ

アニメ作品の映画としては珍しいOP付き。
これはこれでいいなふむふむ、なんて思っていたのも束の間。
期待以上の美麗な映像が目に飛び込んでくる。こりゃたまげた。

キャラクター達の素性が徐々にわかっていき、盛り上がった時に流れる”あの”曲。
”前前前世”を使った物語の転換の仕方と、入れ替わりの日々をテンポよく見せていく演出。
イントロが流れた瞬間から頭に残って離れない。
もうこうなると鳴海は『君の名は。』の虜となっている。

この作品がある意味恐ろしいのは、単に幸せな景色だけ見せてハッピーエンドにさせてくれないところである。

曲を挟んでがらりと変わる作品の雰囲気。
三葉との時間軸の違いを知り、既にこの世に存在しないことを知るシーンの衝撃。

初見の時は奥寺先輩派だった鳴海でも衝撃を受けた(※後に無事、三葉過激派に)。

明るく進む作品だと思っていたら、鳴海の大好きなSF的展開。時間軸のずれ、そのずれを修正するとどうなるか。
SF脳が次々と展開を考えてしまう。

「やめろおおおお!!ハッピーエンドにしてくれえええ!!!」

鳴海の心は自身の悲鳴で満たされた。

スパークル~なんでもないや まで

後半の盛り上がり。
いよいよ村に彗星が落ちてくる瞬間。
瀧の働きによって、過去が改変される時でもある。

彗星落下による爆発。
その爆発を見て「シン・ゴジラといい、今年の映画は爆発シーン最高だな」なんて呑気なことをちょっと思ったのは余談である。

悲劇が終わると、鳴海の脳内では、2人が無事再会することを祈るばかりであった。

まずは村の人々が無事であることに安堵。瀧の努力は報われたわけである。
しかし、まだ終わりじゃねぇぞ。

街のシーンになり、”なんでもないや”がBGMで流れだすと、演出がどこかで見たものに、それも桜舞う季節にエンディングテーマかかりながらこんなカット流されたら思い出すに決まってる。
そう、『秒速5センチメートル』を。

あんなに2人が頑張っていたのに、どっちかが誰かと付き合って幸せになるとかそんな結末だけは勘弁してくれ!!
両手を合わせて祈り倒していると、今や聖地として有名な場所になった神社のシーン。

「君の、名前は?」

お互いにそう言い空へカメラが映る。

二人の間通り過ぎた風は どこから寂しさを運んできたの
泣いたりしたその後の空は やけに透き通っていたりしたんだ

この歌詞の通り、青空いっぱいのスクリーン。そこにタイトルが浮かび上がる。
暗転してエンドロール。

流れ行くキャストとスタッフ。それと共に耳に入ってくる”なんでもないや”の心地よさ。
綺麗に終わり、真っ先に席を立つと打ち震えた。

「なんだ、神映画じゃないか」

見終わってからも余韻が止まらない

いつも以上に書き綴ったが、これが鳴海の感想である。
しかし、一度目の観賞はいくつかの疑問点が出てきた。
というのも、時系列が交錯するストーリーでは仕方がないことであり、テンポを失わないための演出だということもわかっていたため、さほど気にはしなかったのだが。

そもそも、携帯電話のロックをかけないのは鳴海だけ?
あんなんロックされてたら何もできずに詰みじゃん。

などというケチをつけることもしない。
ひたすらにエンタメとして楽しませていただいたので、最高という言葉に尽きる。
あまりの話題性に人が人を呼び観客動員数がとんてもないことになったのは周知の事実だとは思うが、そのせいで期待が膨らみすぎ、あまり楽しめなかったという人も居るだろう。
それもそのはず。
映画というものは100万人見て全員が「最高でした!」と言わせることができない。
それは、料理でも同じかと思う。人によって感想が違うのは当然である。

だが鳴海は言う。「最高の作品だ」と。

事実、鳴海の映画ベスト10にランクインしているくらいなのだから(※別にランク付けしたことはないし、対して映画界における指標にもならないものだが)、これはもう皆さん観るしかないわけで。
ツイッターで散々拡散をし、二次創作まで見漁る始末。こうなった鳴海は手に負えない。

職場の上司とも友人とも見に行き、あまつさえIMAX上映がされることになった時に見ていた今作の観賞回数は二桁に近かった。

それほどまでに感動を覚え、何度も映画館へと足を運んだ。
感動というのはストーリーの感動もあるが、”映画”という一つの作品に対して感じた感情が大きかったため、鳴海のリピートにつながった。

ブルーレイが発売した後は、その特典を見てなるほどと感嘆した部分も多い。

創作家としても得るものが多かった『君の名は。』。
定期的に観たくなる映画なので、皆さんもリピートして観て下さい。

魅力的なキャラクター、映像美、物語。
その全てを堪能したいと思えるからこそ何度も観る。
組紐にも、背景の一部にもすべて意味がある。
その細かさに職人の技を感じ、隅々まで調べたくなる。

それこそが、鳴海のベスト10に入る映画の所以である。





「君の、名前は?  --立花瀧、宮水三葉」

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