映画レビュー/概要

352本目 エイリアン3/Aliens
1992年
監督:デヴィッド・フィンチャー
主演:シガ二ー・ウィーバー
評価:★★★


あらすじ
エイリアンの住む惑星、LV-426から地球へ帰還すべく移動をしていたスラコ号で事件が発生。脱出艇は囚人の住む星へと墜落する。
その衝撃で、リプリー以外に乗船していたヒックス伍長とニュートが死亡してしまう。

悲しみに暮れながらも原因を探るリプリー。
なんと船には、クイーンが産み付けたエッグチャンバーがあり、この星にエイリアンが来ていることを知る。

そして自身を調べた結果、体内にエイリアンが居ることを知る。
戦いに決着をつけるべく、リプリーは最後の戦いに挑む……。


目次
・リプリーとエイリアン、ついに終幕
・もう映画なんぞ撮らん!!
・本物?偽物?ビショップさん




リプリーとエイリアン、ついに終幕

エイリアン2』にて絶頂期を迎えたエイリアンシリーズ。
数年後、会社的にやっぱりこのクリーチャーを野放しにしておくのは勿体無いと思ったのか、続編の制作を決行。

だが、大人の事情によって混迷を極めることになる……。
という話は後述として、ストーリー的には原点回帰に近い形となりました。

囚人だけの惑星に降り立ったリプリーは、武器も無し、救援も無しの窮地に立たされた状態でエイリアンと戦わなければならない。
2作目みたいな大群との戦いを求める人からすると物足りないし、1作目みたいな閉鎖感はあれど、同じような恐怖と緊張感を味わいたい人は、結局1作目を観る。
では、この作品の価値とは……。
となってしまうので、やっぱり今作の評価は誰も彼も低い状態に。
そりゃそうっすよねぇ……。

そもそも、最初の時点で前作の人気キャラを呆気なく退場させてしまったのも大きなマイナス要因な気がします。
だって、ヒックスとニュートですよ??
あんなに命がけで守ろうとしたニュートが事故もう死んでましたなんて、リプリーだけじゃなく視聴者も納得したくないじゃないですか。

展開上やむ無しなのはわかりますが……。

そんなこんなで大変な苦労があったであろう想像は難しくないですし、面白いエイリアン作品を撮ろうとする人たちは居たかもしれませんが、その裏には様々な思惑があったのです。

もう映画なんぞ撮らん!!

映画製作会社とも面倒なことになり、キャストとも大喧嘩をしまくったデイヴィッド・フィンチャーは、「今後映画を撮るくらいなら死んだ方がマシ」などと言ってしまうくらいには追い詰められてしまった様子。

とはいえ、後年『セブン』や『ファイトクラブ』などの名作を生み出したということもあるため、この経験が幸か不幸か、映画史に残る作品を作り出すためには必要な工程だったのかもしれない。

実は『エイリアン3』が撮影に入るまでは非常に複雑な道のりだったらしいです。
脚本は何度も何度も書き換えられ、様々な監督が三作目を撮ってくれと打診されたらしいんですけど、「結局2作目の二番煎じみたいになっちゃうしやだ」と言う始末。
そりゃそうです。似たモノを作ったところで、いい映画を撮れたと言い張ることはできないですからね。映画配給会社も絡んだ、大人の事情ってやつはなんと恐ろしきことか。

そんなこんなで、ようやくデイヴィッド・フィンチャーに監督が決まったけど、前述みたいな状態に。
シガニー・ウィーバーからは「監督こそエイリアンよ!!」なんて言われちゃうし。

そりゃ映画製作したくないって言いますわ……。

こんなことばかり置きていたエイリアン3は混迷のまま制作が進み、出来上がったものはとりあえず形にしたもの、という結果に。
逆に言えば、よくこの形でなんとか収めたなと。

エイリアンシリーズとしては悲しい作品になっちゃいましたけど。

本物?偽物?ビショップさん

※終盤ですがネタバレ注意





未見の人はブラウザバック推奨です。90年代の映画だし、今更いいやって人はそのままどうぞ。


この作品の中で、ビショップが2体出てきます。一体は二作目で壊れたビショップ。
リプリーが作中で助けを求め、お話をするやつですね。こちらに関してはほとんどアニマトロニクス的な本当のロボットとしかお話してません。

もう一体はリプリーを回収しに来たビショップ。
彼は本人だと言いはりますが、後年出てきた作品のことを考えると、これはただの嘘だったということになります。

『エイリアンVSプレデター』は外伝とされていますが、こちらにはチャールズ・ビショップ本人が出ていますし、解釈としてはみんながみんな「どうせアンドロイドでしょコイツ」としか見ていなかったということになります。

鳴海的にも、エイリアン回収のために送られきたロボットでしょどうせ、と思ったので、これは間違いではなかったかなと。

結局のところ、会社のお偉いさん達はいつも安全なところから金になりそうな生物を回収するために使い捨ての駒を散々使ってきたということですね。

いやはや、とんでもないブラック企業だ……。



というわけで、今作以降しばらくエイリアンシリーズは制作されないことになってしまいます。エンディングの惑星封鎖描写のように、シリーズも終焉を迎えた感が非常に強いまま終わったわけですが、人間の欲というのは現実同様果てしないもので……。

リプリー本人の戦いは本当に終わってしまったわけですが、今度は予想外な形で”復活”を遂げることになります。

スルメ的エイリアン映画なので、たまーに観たくなったら観るのもありかな、的★3つです。





「私を殺してちょうだい。  --エレン・リプリー」

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