映画レビュー/概要

351本目 エイリアン2/Aliens
1986年
監督:ジェームズ・キャメロン
主演:シガ二ー・ウィーバー
評価:★★★★★


あらすじ
ノストロモ号の惨劇から逃れたエレン・リプリーは、ハイパースリープの状態で地球周回軌道をずっと漂っていたところ、偶然発見されて救助される。

なんと、57年間も漂っており、娘のアマンダが先に亡くなったという報告を受ける。
エイリアンの悪夢にうなされ続けているリプリーと話をする査問会であったが、そのような生き物が存在するはずがないと、否定されてしまう。

着地した惑星には既に植民地が作られ、テラフォーミング用の機械も設置されており、既に150人以上の人々が住んでいると聞く。
だが、植民地から連絡が途絶えたとの報告が入り、リプリーは「エイリアンを殲滅することのみ」を条件に、アドバイザーとして同行することになる。

悪夢との決着をつけるために惑星へ向かうが、そこで、新たな悪夢と対峙することになる……。


今度は戦争だ!

宣伝文句にあるように、一作目の『エイリアン』とは違い、無数のゼノモーフが登場することに。

一匹でさえ大変な目に遭ったというのに、大量生産されるというのだから恐ろしいことに。

この作品でやっぱり思うところは、”人間の醜さ”ですかね。
金、結局は金……。

一作目にてあれだけ恐ろしい目に遭ったリプリーが根絶を訴えているのにも関わらず、企業はお金儲けのために生物を持ち帰ろうとします。
シリーズを通して持ち帰りを画策しているので、それ以外のことを考えていないんでしょうねウェイランド湯谷社は……。

バケモノを持ち帰ろうとする人間の方が、命をなんとも思わずお金のために動く。
リプリーも言っていましたが、バケモノだって仲間を殺したりはしないのに、人間はなんと醜い生き物か。
※エイリアン4では犠牲にしても逃げようとしますが、それは一旦忘れて。

映画史ではそういった教訓も教えてくれるので、有り難いことです。


まぁそれはさておき。
今回は軍隊VS軍隊ということで、銃も沢山、犠牲者も沢山。
アクションシーンも満載な上に、前作でもあったホラー演出も健在なので楽しみが2倍。

閉鎖された空間で、非力な人間がいかにしてバケモノに立ち向かうのか、というシチュエーションの方が好きな人にとっては一作目の方が楽しいと思いますが、続編として派生することを考えた時に、この作り方は非常に素晴らしいかと。
だって、二作目でも同じことやったら一作目の焼き直しになっちゃうじゃないですか?

ただの二番煎じにせず、オリジナルの良さを取り入れた上で続編としての楽しみを膨らませたキャメロンは素晴らしい!の一言。

みんな大好きビショップさんの”あの”シーン

今作を観たことが無い方は、下記動画をご覧になって下さい。
中盤くらいに、ビショップというアンドロイドがナイフ芸を見せるシーンがあります。


これ、スローで撮ったシーンを早送りしているのではなく、なんと本当にやったらしいです。
エイリアン2公開30周年を記念して開催されたイベントで、監督のジェームズ・キャメロンが「あれは編集一切していないよhahaha」と言っていたらしいので(誇張)、マジですね。

元々ナイフ芸が得意だったって言いますけど、それをまさかマジでやってのけてしまうとは、ランス・ヘンリクセン、恐ろしい俳優さん……!

ちなみに、ビショップの話はまだまだあります。
アンドロイドの血は白いわけで、見た目からして牛乳にしか見えないので、幼少期の頃は「うわー牛乳吐いてるwww」なんて言ってましたが、これまた本当に牛乳を使っていたそうです。
ただ、現場では賞味期限切れのものも気にせず使われていたそうなので、ランスはお腹を下して大変だったそうな。

我々はスクリーンやテレビを通して作品を鑑賞しますが、その裏側も大層大変なもので……。

クイーンさんって実は……。

これは制作のお話になりますが、プロトタイプのエイリアン・クイーンはゴミ袋で作られていたそうです。
骨格(スキーのストックを何本も使ったもの。これも凄い庶民派)の上からゴミ袋を被せて「はい、出来上がり」。

確かに真っ黒だしそれっぽくは見えるでしょうけど、それを支えるために10人以上も使わないといけなかったというんだから、CGの無い時代はモンスターを制作することがどれだけ労力がかかったのか、というのがわかるストーリーです。

実際、映画に登場しているクイーンさんはもっと精巧に作られていますが、エイリアンシリーズの初期は制作費自体がそんなに無いため、こうした努力も裏では沢山あった様子。
※実際、エイリアンウォーリアーもゴミ袋が使用されて作られたものもあったようで。

それでいて歴史に名を残すような作品になるんですから、映画ってやっぱり素敵なコンテンツですねぇ。





「その子から離れなさいこのバケモノ!  --エレン・リプリー」

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