映画レビュー/概要

325本目 素晴らしき哉、人生!/It's a Wonderful Life
1946年
監督:フランク・キャプラ
主演:ジェームズ・ステュアート
評価:★★★★★


あらすじ
人生に絶望したジョージは、橋から身を投げようとする。
彼の人生はいくつもの災難に見舞われ、幸せを掴もうとしても必ず取りこぼしていた。

そんな彼の前に、一人の不思議な男性が現れる。
彼との出会いによって、憎んでいた人生に対して一つの光が差し込むことになる。



クリスマス時期に必観映画

ホーム・アローン』や『ジングル・オール・ザ・ウェイ』をクリスマス時期にオススメするのは、もはやデフォルトと言っても過言では無いと思いますが、鳴海としては古き良き白黒映画を大プッシュします。

”午前十時の映画祭”にて劇場公開された時、鳴海は一人で観に行って涙したという、映画好きじゃないと共感を得られないシチュエーションを体験したわけですが。

それはさておき。
ホーム・アローン』の劇中で映る映画の一つに今作があります。
ケビンの居ない旅行になってしまい、落ち込みがちな家族がとりあえずテレビに映しているのが『素晴らしき哉、人生!』なんです。

この作品もクリスマス時期にオススメできる映画であり、”アメリカ映画協会”がベスト100にランクインする程の有名作です。

実はSF的な観点でも楽しめる

あらすじに記載した通り、人生に絶望した男が橋から飛び降りて自殺しようとしてしまいます。
そこに現れた男というのは”自称天使”。
アニメで描かれるような可愛い、もしくは美人の天使であれば見た目としてもいいんですけど、目の前に現れたのはただのオジサン
実際に遭遇したら何も話さずに走って逃げることでしょう。

ただ、実際にそのオジサンのお陰で自殺するタイミングを逃してしまい、彼は自分が居ない世界だとしたら、周りのみんなはどのような人生を歩むのか、というのを見せられることになります。
(ここで本当に天使だとわかる)

ファンタジーなお話にはなりますけど、タイムトラベル好きはこういうシチュエーション大好きですよね?(笑)

だって、IFの世界を観られるわけですから。実質タイムトラベルしてそういう世界を観たと言っても間違いないわけです。




主人公の演技にも注目

主人公役を務めるジェームズ・ステュアートは、後年でヒッチコックの作品にも登場する名俳優でした。

彼の表情で観る喜怒哀楽はこの作品にピッタリで、今どのような感情で居るのかが手にとるようにわかります。

彼を観ているだけで、人生に悲痛な瞬間、そして本当は素晴らしいものだと感じた瞬間の感情の爆発は観ていて心打たれる程。

現実じゃそううまくいかないことも多いし、悲しくなることもある。
それでも、生きているだけで素晴らしいと感じられる瞬間はどこにでもある。

こうしたシナリオは偽善映画である、などという話はよく出てきますけど、映画なんだからそういう美しい物語があってもいいんじゃないかって鳴海は思っています。

だって、現実と同じ描写をただただ2時間見せられてもつまらないじゃないですか……。

暗い現実に希望を持たせてくれる、そんな素敵な映画に出会えたことは本当に幸運でした。

皆様も12月になりましたら、是非大切な人と一緒に観てください。





「友ある者に、敗残者は居ない。  --クラレンス」

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