22本目 バンテージ・ポイント/vantage point

2008年
監督:ピート・トラヴィス
主演:デニス・クエイド
評価:★★★

『鳴海の一人でキネマ』にて進められている『ソウシリーズ』マラソン。
ちょっと趣向を変えて、別作品にスポットを当ててみましょう。

今回ご紹介するのは、『ソウ3』でもお話した、多面的に物事を観ていくことで”真実”に辿り着く映画、『バンテージ・ポイント』。




所々観ているだけじゃ、絶対にわからない



多人数視点型の物語というのは、主人公一人が辿った軌跡だけではなく、その周囲の人物達も物語に重要な”ポイント”となる。
シガニー・ウィーバーが年を取ったのも一つの大きなポイント(えっ)。エイリアンの時と比べちゃそりゃ老けたのは当然なんだけどさ……。


視点が違えば考え方も変わる。それがまたこの映画の面白いところ。
Aという人が「あれは悪だ!」と言っても、他の視点から見ていた人は「あれは正義だ!」と言ったりする。
意見が違うのも、見たものや考えたことが違うからであって、お互いに自身が正しいと思いながら行動をしていく。

サスペンス特有の楽しみ



頭を空っぽ系映画(鳴海の中では通称パニック系)では、結末が必ず見えるところが良くも悪くもいいところだと思っている。
「最後はこんなシーンになるから大丈夫、大丈夫……」と心を落ち着かせて観られるし、複雑に考える必要も無い。
だが、サスペンス系映画はそんなに簡単ではない。

基本的に、ネタがバレないような脚本を構成するのが常だし(そりゃ、視聴者に誰が犯人か開幕10分でバレちゃなんの意味もカタルシスも無い。ただ、それを逆手に取った映画は勿論ありだと思う)、最後の最後に誰が犯人かわかることが楽しい。
逆に言えば、その読みを外すと犯人が違う人物で、壮絶なバッドエンドだってあり得る。そう考えた瞬間に、観ている人達は安心することができず、また、繰り広げられている展開に没頭せざるを得なくなる。

前者が正しいと思っていても、後者た正しくないと言う。
この映画は、その議論を作品内でする余地があり、終わった後は同じ着地点<ポイント>に辿り着く。

『バンテージ・ポイント』は、没頭させることに置いては終始飽きさせない作りなので、是非とも観てみましょう。





ここまで褒めておいて★が3つなのは、一度観ると物凄く納得できるけど、繰り返し観るには真実を知りすぎているので、2,3度観たらお腹いっぱいになるっていう補足。





「何を信じればいい!?  --トーマス」

#鳴海の一人でキネマ
#バンテージ・ポイント