映画レビュー/概要

288本目 シックス・デイ/The 6th Day
2000年
監督:ロジャー・スポティスウッド
主演:アーノルド・シュワルツェネッガー
評価:★★★★

クローン技術が発達した世界で、自分そっくりな人間に家族を奪われた男が、私生活を取り戻すために戦うSFアクション。



我思う故に我在り

なんて言葉がありますけど、自分を証明するというのは非常に難しいことです。
クローン人間が自分の家で暮らしていたとして、自分がホンモノ(オリジナル個体)であるという証明はどうすればいいんでしょう?

ゲノムかDNAを調べればわかるのかもしれませんが、完璧な複製が作れるとしたら、自分が本物であるとは証明できないのかもしれないですね。

なんていう話からスタートしましたが、シュワちゃんの家に帰ったら自分が勝手にパーティしていた。
そんな馬鹿な、っていうお話です。

2010年にクローン禁止法が制定されたっていうことでしたけど、現実世界ではとっくに日付過ぎちゃってます。

あれ、じゃあもうクローンが街のあちこちに居るのでは……。

まさしく近未来SFに相応しい題材

倒しても倒しても出てくるクローン。
武器として大活躍のレーザー銃。
まさにSFお達しのリアルディスプレイ。

未来を表す要素たっぷりな今作は、現実と照らし合わせて近づいている部分が多いことに気付かされます。

VR技術が発達した今、AIが自宅でアナウンスを行う世界がそう遠くない場所になってきたと思います。
それだけ利便性が上がっていくのはいいんですけど、人間側が追いついていないように感じます。

クローン技術も同様で、技術として利用できるのはいいけど、それに反乱を起こされてはたまったもんじゃありません。
自分の家庭を自分のクローンの取られるなんてのは世にも奇妙な物語に他なりませんから。

技術の進歩ってのは、人間が必ずしも幸せになれるかというと難しいところですね。



偽物で幸せか?

今作の中で題材として利用されるのは、死んだペットのクローンで子どもを満足させることの是非です。

その回答を出す前に筋肉による熱い論議が交わされて終わっていくわけですけど、今のご時世だから非常に大事なお話だとは思います。

レーザー銃で悪役を倒しても、その世界はまったく変わらない。
主人公がエンディングで選択した未来が幸せなものなのか、というのも今観ると非常に疑問になってくるところです。

SFアクション映画ではありつつも、こうした倫理的、技術的な側面において議論に挙げることのできるオススメ映画となっております。





「さっきお前に殺された。」

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