2004年、怪獣王であるゴジラはこの年を期に最後の出演になることが決定。
キャッチコピーは『さらば、ゴジラ』。

でも、鳴海の中では最後に感じられなかった。
コレほど人々に認知されているキャラクターが、もう二度とスクリーンに現れないはずがない。

そう思い続けて10年。
2014年、ハリウッド版『ゴジラ』が放映。
劇場に足を運んだ鳴海は、再び戻ってきた怪獣王に拍手を送った。また劇場でゴジラを観られる!
だが、何かが心に引っかかっていた。

手放しに喜べなかった要因は、作中のゴジラの立ち位置にある。
メインのストーリーはMUTOと呼ばれる怪獣であって、ゴジラは正義のヒーローに近しい形での登場。

熱線のタイミングや、凄まじい咆哮など、随所で楽しませてくれた。

でも、足りなかった。

圧倒的な絶望。

それを再び劇場で観たかった。54年の時に観た人達が味わったような恐ろしさ。
ド派手な破壊。人々が次々と絶望の淵に追い込まれていくその様を観たかった。

そして2016年7月。

『シン・ゴジラ』放映。

なんと、日本産ゴジラを再びスクリーンで観られることになった。

本日2016年7月31日、鳴海はIMAXでその姿を観てきました。

序盤から畳み掛けられる日本への絶望、日本人の結束力、現実の日本を風刺した展開やセリフ回し。
どれを取っても、今の日本で作ることのできるゴジラ映画としてはベストとしか言いようがない程の完成度。

旧来のシリーズをオマージュしつつも、最新のゴジラ映画を構築してくれた。

そこには、前回の『GODZILLA』と同じわだかまりは残らなかった。



とうとう、鳴海は手放しで喜び、こう言える日が来た。

「ゴジラが戻ってきた」