4本目 V/H/S シンドローム/ V/H/S

2012年
監督:アダム・ウィンガード、デヴィッド・ブルックナー、タイ・ウェスト、グレン・マクレイド、ジョー・スワンバーグ、レイディオ・サイレンス
評価:★★★


鳴海思考でホラーと言えば、悪夢の中に出てくる殺人鬼とか、湖でリア充爆発生活してたらナタを持った風紀委員に成敗されるとか、そっちの洋画的なものではない。

本当の恐怖は、得体の知れない『何か』。画面がゆっくり動いているだけで、画面上には何も映っていなかったとしても、BGMやそれまでのシーンの演出で人を怖がらせることができる。
いわゆる『和製ホラー』が好きであり、怖くて気軽に見れないジャンルの一つなのだ。

井戸から出てくる白いワンピース、長髪のお姉さんとか、家に入った人はみんな呪ってしまう主婦とかは、鳴海の中ではトラウマとなっている。

さて、今回紹介するホラー映画は、じめっとした恐怖ではない。
それにしたって、相変わらず斜め上を行く作品をチョイスする気概は、このブログらしい特徴。みなさん、ゆるりとご覧あれ。



現実と現実とビデオの境目を彷徨う

『V/H/S シンドローム』は、とある主人公たちが押し入った家の中にあるビデオテープを次々と見ていく。
探しているものが何らかのビデオテープらしく、それを手に入れるためにあれこれと再生するという構成。
それがまた奇妙奇天烈な映像ばかり。
実際に起こった出来事なのか?それとも創作したもの?

わけがわからないうちに、主人公たち一行は次々と不思議な出来事に巻き込まれていく。

この構図は、この映画を観ている観客の『現実』と、主人公たちが居る『現実』、そしてビデオの中にある『現実と虚構の境目』というそれぞれの世界のボーダーラインを曖昧にしてくるところが面白い。

見ているうちに、まるで主人公たちがビデオを見ている隣で、自分も一緒に観ているかのような錯覚を感じる。それが演出の意図だとわかっていても、奇妙な物語に引きこまれていく。

この映画の楽しいところであり、最後の最後にはしっかり締めているのもまた歯切れがよい。

ホラーはどんな場所にも潜んでいる


人を怖がらせる手法は一つではない。ということは、ホラー作品を作るということは、今更鳴海が語らずとも腐るほどあるのだ。

この映画は単純に人を驚かせて怖がらせるだけの映画ではない。
純粋に恐い映像かと思いきや、SF要素が混ざることもある。
本質的に『人が怖がる』ものを集め、一つの映画に入れている。

最後の最後で


ラスト一本観終わった後(正直、このラスト一本は個人的にベストだった。ゴシックホラーとPOVホラーの怖さをうまく混ぜあわせていると思う)、ビデオを見ていた主人公達は『とある者に襲われる』。
予想外ではなくとも、余計なことはせずシンプルに作品を終わらせてくれるため、観ていて「あー、これはいい映画を観た」係数が自然と高くなる。

小細工なんて必要ないと証明してくれている一本でもある。
観たこと無い人は、是非一人部屋に篭って奇妙奇天烈な体験をしていただきたい。

ただし、鑑賞途中、後ろは振り向かないように。。。





「みんなここで死ぬの --TUESDAY THE 17THより」

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