5本目 インシディアス/INSIDIOUS

2010年
監督:ジェームズ・ワン
主演:パトリック・ウィルソン
評価:★★★

ホラーの趣味趣向に関しては、V/H/S シンドロームで語ったとおり。
じめっとじわじわ、ゾクゾクさせるホラーが好きでもありトラウマになるもの。
こればかり主張しているとただのドMに思われそうだが、決してそのようなことは無い。

いや、でも実際怖いのに観ているというのは、やはりMの気質があるのかもしれない。

さて、今回はこんな話から映画の話へシフトしてみようと思う。

日本の霊と、海外の霊について。
どちらも幽霊の存在に関して語られる話は星の数程あるだろう。共通点はあれど、起きる現象におおまかな違いがあるように感じられる。

そして特筆すべき点は、悪魔の存在について。
日本の悪霊と言えば妖怪などの類に分類されるのかもしれないが、現代で「妖怪を見た!」なんて言っている人は聞いたことがない。
どちらかと言えば都市伝説で知られるような、「口裂け女」や「トイレの花子さん」の方がよっぽど有名だろう。
だが、「悪魔を見た」という話はこれっぽっちも聞かない。幽霊を見たという話に埋もれているだけで、実はそういった話が局所であるのかもしれないが、その手の話が多いのはやはり海外に多く感じられる。

『インシディアス』では、そういった霊の恐怖だけではない、もっと別の<何か>を体感する作品なのです。



始めはゆっくりと。途中からジェットコースター。



緩急を付けるというのはどんな話でも重要で、突然怖い話が始まったかと思いきや、それから無駄な人間ドラマだけで話が終わってしまうんじゃ、面白かったなんて言う人は極端に少ない。

インシディアスの始まりは、ほんの些細な話からスタートする。
引っ越してきた一家が、じわじわと霊体験をしていき、中盤を過ぎると誰も助けられない程恐ろしい状態に陥る。
その『序・破・急』を区別できているこの作品は、ホラー映画としての満足度をしっかり高めてくれる。
驚かせるだけではない。そこに居るんじゃないかと予測してしまう<何か>に怯えることこそ、ホラー映画の世界に浸かっていることに他ならない。

コラボするのは映画だけじゃない。



映画を作成するにあたり、『SAW』で有名なジェームズ・ワン監督と、脚本にリー・ワネルが名前を連ねている。それだけではない。
POV(ポイント・オブ・ビュー:一人称視点のようなもので、ドキュメンタリーであるかのように映画の物語を進める)で一世を風靡したオーレン・ペリ監督が製作している。
つまり、<恐怖>と<恐怖>のコラボレーション。

そりゃまぁ面白味と期待値の方が増えますよねって話。


ハッピーエンドのお約束なんて無い。



こう書くと「おいネタバレじゃねぇか!」と言われそうですが、敢えてこう書きました。
というのも、「あぁ、そうくるのねwww」って思った鑑賞者である私からすれば、見方によってはただのバッドエンドではないのです。

このエンディングの後を想像する楽しさこそ、映画を観た後も継続する幸福な気持ち。

一応言っておくと、

そこそこなどんでん返しが楽しめます。




「アイツが見ている。 --ダルトン=ランバート」

#鳴海の一人でキネマ
#インシディアス
#SAW
#映画レビュー