映画レビュー/概要

350本目 ゴジラ(1984)
1984年
監督:橋本幸治
主演:小林桂樹、田中健、沢口靖子
評価:★★★★


あらすじ
伊豆諸島の大黒島で火山噴火が発生。
その近くを通った漁船の乗組員は、”巨大生物を目撃した”と証言する。

1954年に東京を焼け野原にした怪獣、ゴジラの再来ではないかと考えた政府は情報公開を控える。
だが、ソ連の原潜が巨大な何かに襲われてしまい、ついに日本政府はゴジラ復活の情報公開に踏み切る……。


リターンオブキング

「レビューが50進むごとにゴジラ映画のレビューをしよう」なんて途中から考えたせいで、折角エイリアンシリーズの話を書くことにやる気を出していた自分の気を削ぐように、怪獣王のレビューを進めていくことになります。
ブログを読んでいる人にはさっぱり関係ないことですけど。

というわけで、今回は1984年のゴジラについてトークするとしましょう。

時は今(2019年)から遡ること35年。『メカゴジラの逆襲』にて一旦幕を下ろしたゴジラシリーズでしたが、ファンからの熱い声援もあり復活を遂げます。

原点回帰を目指したということで、それまでの昭和シリーズとは違いリアル調で描かれるゴジラ。
後の『シン・ゴジラ』では更にリアルを追求して作成されましたが、今作もそのリアリティは真に迫るものがあります。

特に時代背景ってやつは作品内のリアリティを増幅させますね。

核を使うか、使わないか

ゴジラが本当に自分の国に来るとしたらどうするか?

そんなことを大真面目に考える人は世界の中でも限られるかと思いますが、それを真面目に考え抜こうとした結果の一つが今作であるかと。

日本には非核三原則というものがありますが、そこをテーマにした物語を作れるのはやはり日本ならでは。
外国からしたら「いいからゴジラ殺そうよ!じゃないとこっちの国来たら被害被るんだよ!」と言いたくなるのは当然のこと。

だからと言って強硬策に出ようとしていたのもこれまた人間らしさ溢れるではありませんか。
でも後年、『シン・ゴジラ』では「例えニューヨークで同じことが起きても、ためらわずに核を使う」なんていうセリフがある通り、この当時とは少し情勢が違うのかもしれません。
それか、作中の首相である三田村さんのような考えは、日本だけの話であり海外ではそんなこと言ってられないでしょ、という感じで冷めた視線を送っていたのかもしれません。

科学者が主人公になる

1954年の『ゴジラ』では、芹沢博士がキーとなっておりましたが、今作では生物学者である林田が物語の鍵を握ります。

54年に両親をゴジラに殺された、ということで復讐いっぱいかと思いきや、「それを作った奴の方がよっぽどバケモンだ」と言うくらい、本質を突いたセリフを吐きます。

いつものド派手な対戦は新宿で繰り広げられますが、最後の終わり方はゴジラシリーズとしては穏やかなもの。
それでも、ゴジラという存在で人間界が揺れ動く様と、その存在がどういう意味を指し示すか、という議題につきない形での終幕なので、トークは弾みます。

昭和シリーズを観ていなくてもオッケーですが、怪獣同士のランブルバトルを期待している方にとっては少し物足りない作品です。

シンプルにゴジラに焦点を当てた映画を欲しているのであれば、今作はイチオシ。

鳴海として一番好きなシーンは、上陸時に熱戦を吐いた後、全てが破壊され無音になるところですね。
あの演出は最高です。





「日本には、非核三原則というものがあります。  --三田村首相」

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