映画レビュー/概要

827本目 セーヌ川の水面の下に/SOUS LA SEINE
2024年
監督:ザヴィエ・ジャン
主演:ベレニス・ベジョ

評価:★★★★

◯サメ映画のテンプレを踏襲しつつ、新たな展開を描いた本作はお見事!
◯海洋汚染による進化という、怪獣映画ものを彷彿とさせるワクワク感から、後半の追い込みまでの流れが観ていて楽しすぎる。
◯人物描写とのバランスも程よく、観ていて飽きがない。


オリンピック前によくこの映画配信する気になりましたね


セーヌ川でトライアスロンして体調不良になったニュースも、この映画を観れば「そりゃそうだよな」と納得してしまう程。
オリンピック開催前に配信された本作を観れば、どれだけセーヌ川が汚いのか一目瞭然です。こんなところで泳ぎたいなんて誰も思わないですよね……。
ちなみに、不発弾って本当にあったの??って思ってちょっと検索してみたら、本当に第二次世界大戦の不発弾が150発以上あったようで。
オリンピックやセーヌ川に纏わる話など、様々に組み込んだ本作は非常に楽しめました。

セーヌ川にサメが現れるという、サメはやっぱりどこにでも出没するんだな、を後押しする作品に。多分サメ映画好きの方は歓喜する一作になったことでしょう。
映画好きの皆さんにとってサメ映画が古今東西多種多様であることは既知のことであろうかと思いますが、セーヌ川に出没するパニックサメ映画がネットフリックスで配信されるなんて誰が予測できたでしょう。
『道頓堀の水面の下に』とかで日本版サメ映画が登場しても特に不思議だと思いません。
絶対無いけど。
いや、でもスタッフロールの描写を考えるとあながち変では無さそうな……。

さて、そんなアホなコメントは置いといて本題へ。
海洋汚染により適応・進化したサメが、セーヌ川に出没するようになったというお話。
現実の保護団体とかそういう考えを持っている方々を否定するわけじゃないですが、本作でサメの保護を訴えていたミカが食べられたのはなんとも皮肉な話だなぁと。
サメは無害!逃がせる!と考え行動していたことこそ人間の傲慢なだけな気がします。
結局顛末はこの通り、って感じなので。

サメが人を襲うのは最低保証の描写として、後は
・人命よりもイベント第一な市長
・「家族が居るんだ」の回収
・やっぱり使えない軍隊
など、様々なサメ・パニック映画要素もふんだんに盛り込み、モンスター・パニック作品としての楽しさも提供してくれるので非常に面白かったと思います。

サメ映画の新種として楽しいものを望むのは中々難しいところかと思いますが、そんなハードルをしっかり超えてきた今作には多大なる拍手を。





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