映画レビュー/概要

223本目 SP 革命篇
2011年
監督:波多野貴文
主演:岡田准一
評価:★★★

SP 野望篇』の続編であり、シリーズ最終章。
邦画史において稀に見る展開と、壮絶なサスペンスは必見。



ホワイトハウスが襲われることがあっても

アメリカ映画で、ホワイトハウスが狙われたり、大統領が狙われたりする作品というのは非常に多い。
それは、アメリカという国の規模を利用したスケール感を大きく見せるための手法であるが、日本で同様のことをやるとどうなるか?

総理大臣が襲われる作品というのは、どちらかというと映画よりもドラマに多い気がする。あくまで刑事作品系の一話分の物語にすぎず、世界的テロリストレベルの集団に襲われるというシナリオを鳴海は見たことがない。

そのような構成を実現してくれたのが、本作である。
日本人であるがゆえの「そんな事件起きるはずないだろう」を目の当たりにすると、この国は案外脆く崩れてしまうのではないかと恐怖する程だ。

平和な国の平和なお話

「日本て本当に平和ボケしているね」と他国の人に言われても、それを否定しようがない。
かといって、武装集団のように家中に武器を置く国に住みたいとも思わない。
本当の平和ってなんでしょうね?って思いながら観ていた。
こういっちゃなんですが、傍目から見ると明らかに無駄な時間を過ごしていらっしゃる政治家の方も居れば、無作法だったりマナーなどお構いなしな人が公共の場を平然と歩いていたりする。
そんな光景を観てしまったかと思えば、集団という一つの個の中で秀でることよりも、皆同じ行動を取ることを優先する教育がある。

なんか、SNS上で書くと明らかに問題視されそうな話題ですけど、”革命”の火を灯す理由っていうのは、こういうことからでも浮かんでくるんです。

尾形がずっとどんな気持ちでSPをやってきたのか。
命を護ることの大切さを井上に教えていながらも、心の中ではとてつもない葛藤があったのだろう。
そう思わざるを得ない状況をいくつも目の当たりにする。

前作同様、見やすさで言えば100点を付けてもいいレベルのテンポがあるからこそ、自身が居るこの国についてふわりと考えてしまうのです。

映画っていうのはこういう側面も見せてくれるから、本当に面白いなって思えます。
SPだけではない自身の論評になってしまいましたけど、まさしくこういった議題を語りたくなるくらいには、この作品は楽しいということを伝えている証拠です。





「立ち上がれ。  --尾形」

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