355本目 イット・フォローズ/”それ”が一生付いてくる、という恐怖体験
映画レビュー/概要
355本目 イット・フォローズ/It Follows2015年
監督:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
主演:マイカ・モンロー
評価:★★★
※ネタバレ注意
あらすじ
恋人と肉体関係を持ったジェイ。
ジェイは幸せな一時を過ごしたが、彼氏が突然クロロホルムを嗅がせ、眠りについてしまう。
縛られたまま別の場所へと運ばれてきたジェイは、彼氏から”それ”が近づいていることを教えられる。”それ”は、肉体関係を持つと付いてくるという、謎の恐怖であった……。
絶対に離れない”それ”
珍しいストーカー術を持つ幽霊らしき何かから逃げ続けろ!というのが今作。
あくまで”それ”の正体は詳細に語られず、”それ”からどれだけ逃げ続けるのか、ということに的を絞って描かれております。
不気味さとグロさが相俟った洋画ホラーで、結構好き嫌いは分かれるような気もします。
面白い設定ではありますので、定番から外して恐怖を体感したいということであればオススメです。
あくまでゆっくりゆっくり
走るゾンビが嫌い、なんて話をしたことがどこかのレビューであった気がしますが、”それ”はめっちゃゆっくりです。じゃあ逃げるのめっちゃ楽じゃない?と思われるかもしれませんが、めっちゃゆっくりなのに絶対に付いてくる、ということが何より怖いです。
速攻で目の前に現れるのも心臓に悪いですが、必ず自身の視界に入ることも相当なストレスですよね。
見たくもないのに、遠くでゆっくりゆっくり歩いてくるんですから、そりゃ鬱にもなりそうな。
心に貯まるフラストレーションを解消する術が一応あるのが見どころの一つです。
ホラーなのにその偏屈な”それ”との向かい方こそ、見どころとなるでしょう。
最後の対決については賛否がありそうです。
鳴海としてはちょっと首を傾げる展開がありますけど、そんなに批判するレベルのものではありません。
だとしても、血が出るのはなんでだろう……。
”それ”に対してなんらかのダメージがあったことを示唆したかったんでしょうけど、別になくてもラストシーンはキレイに繋げることができたのでは?とも。
ラストの意味深をどう受け取るか?
ここからネタバレフェーズです。ジェイとポールが最後に手を繋いで歩いているシーン。
後ろには人影があり、結局の所どうなったんだ?
と思われる人が多いでしょう。
たまたま歩いていた通りすがりの人かもしれないし、やっぱり生きていた”それ”かもしれない。
先述の血はここに生かしたとも言えますね。
結局のところハッピーエンドを迎えたかと言えばそうだと言えるし、一生”それ”から離れないことを考えるとバッドエンドな気もします。
解釈次第ですが、鳴海的にはハッピーエンドです。
対処方法は知っているわけですし、ずっと歩いていれば生きられるわけです。
人生に辛いことは付き物ですが、彼と彼女の場合は”それ”が付き物だったってことで。
幸いなことに、呪怨みたいに絶対に死が確定しているわけじゃないですし、そういったところと比較すると尚更ハッピーですよね。ホラー映画で生存しているってことだけで結構奇跡的な気もしますし。
じゃあ、なんで殺せたような描写があったんだろう、とは思ってしまいますけどね。
とまぁ、イット・フォローズはこんな感じで終幕です。
昨今のドッキリ洋画ホラーとは一転して文字通りじわじわと迫りくる恐怖を体感できますので、ホラー好きな方は一度鑑賞していただければいいかなと。
「”何か”が追いかけてくるの……! --ジェイ」
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