映画レビュー/概要

300本目 キングコング対ゴジラ
1962年
監督:本多猪四郎(本編)、円谷英二(特撮)
主演:高島忠夫
評価:★★★★★

北極海で光る氷山が見つかり、調査団がそこへ向かう。
だが、その光はゴジラの放つ光であった。

ゴジラが再び目覚め、世界に絶望の色が広がる中、南海では巨大なる魔神が姿を現していた……。



ゴジラシリーズ屈指の人気

初代の『ゴジラ』がオキシジェン・デストロイヤーで倒され、『ゴジラの逆襲』では二体目のゴジラが発見された。

二作目が思いの外ころっとコケてしまったためか、ゴジラは表舞台からしばらく姿を消していました。
その間には『モスラ』や『ラドン』などが単体映画として登場し、東宝のモンスターユニバースと呼ばれる世界観が確立されつつあったというわけです。
2021年現在では、ゴジラとコングがアメリカの方で大暴れしておりますが、それより遡ること約50年前のお話です。

1962年。満を持して再登場するゴジラの相手はなんと、アメリカの人気モンスターであるキングコング。

このタブーとも言える共演は日本だけではなく世界を熱狂させ、シリーズとしては観客動員数第一位(当時でなんと1120万人!2020年前後でわかりやすいタイトルだと、『天気の子』でしょうか?あれがだいたい1000万人程みたいです)。

当時の熱量を感じることはもちろんできませんが、『シン・ゴジラ』どころじゃない映画館の人だかりを考えると、カラー作品がまだまだ目新しい時期に、この映画は非常に影響力のある作品だったのでしょう。

怪獣プロレスの確立

昨今では怪獣同士が闘うことになんの珍しさも無いですが、このときはまだまだ新鮮な状況。
というのも、怪獣や”モンスター”という括りで称される化物な皆さんは、人間や建物を襲うことに余念がない頃でしたから。

『ゴジラの逆襲』もありましたけど、アンギラスだけではゴジラに対してまだまだ力不足でした。
頑張ったのになぁアンギラス。

ゴジラという存在は1960年台で既に世界に知れ渡っている怪獣。
それがなんとキングコングと対決するっていうんだから凄いもんですよ。
だって、アメリカさんの人気キャラクターですからね。裏でどんな大人の事情があったかはわかりませんが、私達はこの二大人気キャラクターが殴り合うのを見られることになったわけです。
2021年5月の方も楽しみですな!!

この映画では本当にプロレスと称していいくらい殴り合いシーンが出てきます。
片や火を吐く大怪獣なわけですから、火を吐かれたらキングコングはそのまま焼け死んでしまうのでは?というイメージを逆手に取った後半の流れが非常に秀逸。
キングコングが覚醒するに至った能力は当然日本独自の設定ですが、これが『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』にも通じてくる部分があるから面白いですよね。

ゴジラ、フランケンシュタイン、キングコング……。

怪獣映画の世界も、調べれば調べる程面白いもんです。

MCUより遥か前に

映画と映画に繋がりを持たせるというのは、最近ではマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に代表されるように、珍しくはない作り方になりましたね。
こういう作り方をすると、ファンは自然と次回作を見てくれるようになりますし、グッズも売りやすいことでしょう。
MCUがその走りだ、なんてこと言う人が居ますがちょっとお待ちを。

考えてみて下さい。
ゴジラ映画という東宝作品の怪獣達がいいだけ集まるこの作り方こそ、シネマティックユニバースの手法だとは思いませんか?

先述で、ゴジラがお休みしている最中に、モスラやらラドンが出てきたわけです。

マーベルで言えば『アイアンマン』の後に『マイティ・ソー』と『キャプテン・アメリカ』が出てきたようなもんです。

こういう繋がりを現代で表す怪獣映画は、今ハリウッドで続いているモンスターユニバースと呼称されるハリウッド版ゴジラ映画シリーズですが、日本でも再度こういった関連性をもたせたゴジラ映画の作り方をするのではないか、という話があります。

元々そんな風に作っていたんですから、わざわざ焼き直す必要は無いんじゃないかな~とは思います。

でも、『GODZILLA 怪獣黙示録』など、アニメ版ゴジラの前日譚を小説家した作品を実写映画化してくれるなら大歓迎です。

おっと、話が随分逸れました。
今作における娯楽性は兎にも角にも非常に高いので、ゴジラ映画をあまり観ない人にもオススメです。
というか、ゴジラという言葉を知るなら観てみましょう、くらいの重要度です。





「やいこのタコ!  --古江 金三郎」
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