映画レビュー/概要

439本目 GODZILLA 怪獣惑星
2017年
監督:静野孔文、瀬下寛之
主演:宮野真守
評価:★★★

あらすじ
怪獣が出現し、絶滅の一途を辿った人類は別の惑星へと移動を開始。
だが、その旅の途中で地球へ帰還することになってしまうが、地球は既に”ヤツ”の惑星へと変貌を遂げていた。
2016年公開のシン・ゴジラが大ヒットしたことに続き、アニメ版ゴジラが劇場公開されることに。
アニメのゴジラが劇場にて公開されるというのは初のことであり(一応アメリカの方ではアニメーション作品があったそうな)、シン・ゴジラの勢いに乗ってゴジラファンの熱はどんどんと上昇の一途を辿っていたわけです。

シン・ゴジラのレビューは下記より!

当時の鳴海も期待バク上げ状態で、日本のゴジラもこれからどんどん盛り上がるぞ!!!
とテンション最高潮になっていきました。
公開初日に観に行った鳴海でしたが、ある意味”例のトカゲ”以上に悩みを抱えることになりました。

怪獣、惑星……?

ゴジラ作品としては、おそらく最もSFな世界観。
怪獣の出現により宇宙へ逃れるしかなくなった人類が、結局は地球に戻るしかなくなったのはいいけど、地球は怪獣だらけに……。

はい、確かに怪獣だらけでしたが皆さんの思い浮かぶような怪獣は出てきません。
アンギラスとか、キングシーサーとか、ジェットジャガーとか(?)。
怪獣の星になったっていうんですから、いろんな怪獣見たいなーって思ったのは鳴海だけじゃないはずです。
アニメーションのゴジラ映画として、一体どんな活躍をしてくれるんだろう?と思ったら、G細胞を持った怪獣がそこらを飛び回るのみ。
一つ肩透かしになってしまったのはここですかね。

人間サイドのお話もしていきます。
主人公のハルオは両親をゴジラに殺されてしまい(実は死んでいなかったっていうのが小説でもわかります)、ゴジラに対して復讐を誓う人類代表的な存在。
そんな彼をとりまく怪しい宇宙人達。
明らかに”何か”を信奉しているのは見え見えですが、そこまでまだ露骨には出てこない状況です。
ここで凄い残念なのが、人類がどれだけ恐ろしい目に遭ったのか、という”恐怖”が小説を読まないとわからない点です。
OPの解説だけで飲み込むことは非常に難しいため、そこに対する感情移入が不足している点は否めません。
OPでシルエットだけ怪獣の絵が出たことはめちゃテンション上がったんですけど、まさかパチもんしか出ない状況になるとは思いませんでしたから。
結局倒したゴジラも偽物であった、ということもまたイマイチな気分になってしまうポイントかもしれないです。

なので、
・ゴジラ(偽物)以外全然怪獣が出てこない。
・ゴジラが巨大である、という描写が周りに建物が無いせいでわかりにくい。
・人間サイドの苦労がわかりにくい。

この3点がマイナスになってしまう中心的な部分かなーとは思います。
他の人のレビューを観ていると、そもそもアニメじゃなくてよくね?っていう声が大きいですが、そこについて鳴海はあまりマイナス印象ありません。
アニメだからこそ現実的な成約がなく伸び伸びと表現できるところはプラスに作用しますし、なんならゴジラという枠組みを広げる上では嬉しい試みだったと思っています。
ただし、前述の通りアニメの良さがかき消されてしまう点は否めません。
熱線の描写もあまりに遠いアングルからで、その威力や恐ろしさが感じにくくなってしまっています。

とはいえ、ラストに登場した本物のゴジラはあまりにも圧倒的でしたし、劇場内に響く声はやっぱりアニメであっても怪獣王であることを示してくれています。
ちなみに、前日譚である『GODZILLA 怪獣黙示録』を読んでいると尚更重みが凄いです。
今までのどんな怪獣映画よりもリアルに人類が追い詰められたこと描写が様々に描かれており、めちゃめちゃ面白いです。
そっちの方が沢山怪獣が出てきてしまっていることもまた、今作が勿体ないなぁと思ってしまうところにも繋がってしまいます。

我々で争う前に

結構この作品を酷評する人が居ますけれど、個人的にはシェーをしている昭和ゴジラも、親としてミニラを育てるゴジラも、モノクロ時代の恐ろしいゴジラに比べればとんでもない所業しちゃってますからね。

もっと言えば、アメリカの例のマグロ食ってるやつだって相当違う物体のはず。
そんなこんなで登場したアニメ版ゴジラだけあれこれ言うのはちょっと違うよな、と。
当然ながら、完璧に面白いゴジラ映画作品だとは僕も思っちゃいませんが、とはいえ様々に考察できる楽しい作品であることは間違いないですし、後に登場する『ゴジラ シンギュラポイント』のことを思えばしっかりゴジラ史を繋いでいるのではないかと思います。

好きなゴジラ映画は人それぞれだと思いますし、それぞれの作品に楽しさはあると思いますので、それはそれで楽しむのが一番かと。

めっちゃ平和な感じで締めようとしてますけど、個人の感想だけ言わせてもらうと『オール怪獣大進撃』が一番許せない派です(煽っていくスタイル)。
そもそも子供が主人公やんけあの映画(憤怒)。
とか、そんなこんなで色んな作品に対するヘイトがあるのは重々承知しています。そんな平和なゴジラ作品が好きな人が居ることも当然理解はしています。

言い争っても仕方がないので、最後の締めにリーランドさんのセリフを持ってきます。





「クソったれだ。こんな星。  --エリオット・リーランド」

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