映画レビュー/概要

398本目 セッション/Whiplash
2014年
監督:デイミアン・チャゼル
主演:マイルズ・テラー
評価:★★★★

あらすじ
学生のアンドリュー・ニーマンは、偉大なジャズドラマーに憧れて学生生活を送っていた。
そんな中、音楽学校の中で最高指導者とも謳われるテレンス・フレッチャーと出会う。
バンドチームに引き抜かれたアンドリューは嬉々と教室に向かうのだが、そこは罵詈雑言が飛び交い人格をも否定される恐怖の教室であった……。
この映画ほど、狂気という言葉が合う作品も中々ありません。
ドラマ映画というジャンルをあまり鑑賞しない鳴海がドツボコースになってしまった今作は、”映画史に残る大作”と言われる理由もわかるってもんです。

今作は第87回アカデミー賞も5部門ノミネート、3部門受賞という甚だしい結果を残しております。
アカデミー賞だから鑑賞しようっていう区分けは鳴海の中ではありませんが、この”狂気”は後世まで語り継がれることでしょう。

怖い?嫌い?

この映画の印象として、「怖い」「狂ってる」「嫌い」などのワードが飛び交っております。
というのも、音楽教師のフレッチャーがあまりにもバイオレンスすぎるからですよね。観た皆さんなら言わずもがなだと思いますが。

そんなフレッチャーに指導されることを望んで入ったアンドリューが不憫に思えてならないことが映画の9割くらい続くんですから、観ていてしんどくなるのもわけないです。
ただ、この映画の上手い展開運びとして、アンドリューが要所要所で認められているところにあります。

最初から否定しかされていないのであれば、ただただ暴言吐くだけのヤバい教師なんですが(それを抜きにしたってヤバい教師なことに変わりはないです)、アンドリュー自身も見返そうと必死に努力することから、ちょくちょくアメの部分が出てきます。
このアメとムチの比率が絶妙で、最後の最後、ラストのカタルシスを一気に高めていきます。
これぞまさに、脚本としてお手本のような流れ。

例え手が血まみれになっても、罵声を浴びせられても、最後の最後まで自分の音楽を貫き通すアンドリューと、例え罵声を浴びせて生徒が消えようとも、世間から非難されようとも、自分の音楽を貫き通すフレッチャー。

”魂を燃やす”とはまさにこのこと。

音楽家2人の最高の到達点

いよいよラスト。
紆余曲折がありすぎた2人が作り上げた最高の音楽が登場します。

吹っ切れたアンドリューは、既に怒りや復讐心なんていう言葉とはかけ離れた場所に心があったように思います。これが”自身の音楽”であるということを表現するようなパフォーマンス。
押しつぶすことを目的としていたフレッチャーもこれにはニヤリ。

キャラバンの演奏が、音楽が心にここまで刺さったことはこの映画を観るまでは今まで一度も無かったと思います。
テーマ曲が刺さったことは何度もありますが、劇中の登場人物が演奏する音楽に夢中にさせられたのは、アンドリュー以外には居ないと思います。

あ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティの演奏もめっちゃ好きではありますけどねw

文で語るは安直。こればかりは、本当に観て感じて欲しいの一言に尽きます。
ネタバレ含む記事ではありますが、もしとりあえずこの記事は読んだけど鑑賞はしていない方がいらっしゃいましたら、是非ともご覧下さい。

アガること間違いなしです。





「いつでもお前を切る。  --テレンス・フレッチャー」

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