映画レビュー/概要

683本目 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン/Violet Evergarden
2020年
監督:石立太一
主演:石川由依
評価:★★★★★

あらすじ
時代は変わっても、想いは変わらないーー

代筆業として名を馳せることになったヴァイオレット・エヴァーガーデン。
彼女へ入った新たな依頼、思わぬ報告、彼女が綴る最後の手紙。

愛する人へ贈る、最後の手紙は届くのか……。

※ネタバレありです!※
テレビシリーズ、OVA、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』を経て、いよいよ完結となる劇場版が登場。

毎度号泣させられてきた鳴海ですが、まさか『トイ・ストーリー3』に近しいくらい泣かされるとは思いませんでした。

”自動手記人形”として活躍していたヴァイオレット・エヴァーガーデンは、今や国で知らない人は居ないのでは?というくらい有名になります。
国外でも有名になってきた彼女の名前がある人物の耳に入り……。

っていう話と同時に進む過去、現在、未来の出来事……。
2時間以上の物語なのに、一切飽きさせずしっかりと完結させる所業はお見事としか言いようがありません。

いつもながら物語、描写、感動の3スパイスは涙腺に効きまくりで、開始10分で泣かされるという事態に
例の10話と密接にリンクするキャラを出してきたのは本当にズルです。ズルズルのズルです。

何より美しかったのはヴァイオレットの涙。
回を重ねるごとに愛おしさが詰まっていくある意味恐ろしいキャラなのですが、今作はラストの展開と相まって尊さを通り越して嗚咽でした(※劇場内で泣いている間、咽び泣きそうになったのを必死で堪えながら泣いていました)。

こいつぁとんでもない作品だ……。

早く行けよ浪川ー!!!

ネタバレありなので普通に書きます(というか、劇場ポスターで彼が映っているから、なんとなくお察しな方も多いのでは?)。

なんと、例の少佐様が生きていらっしゃるではありませんか!
そりゃ居ても立っても居られないヴァイオレットですが、会いに行ってもギルベルトはヘタレもヘタレに。
過去の背景を考えるとまったくそう思うことに対する反発的、逆の意見はあまりありません。むしろ、自分でもそう考えるのでは?と思ったくらいです。

しかし、今までヴァイオレットの物語を見てきた我々からすると、扉をぶち破って入ってでもいいからさっさと”愛してる”の言葉を交わして欲しかった。
物語、脚本のぐいっと伸ばすのも嫌いじゃないんですが、内心では「外で麗しのヴァイオレットが待っているんだぞ!?!?早く行かんかい!!!」とずーーっと思いながら観てました。
「このヘタレ浪川(ギルベルトのCVなんですけど、個人的なあだ名が声優さん)!さっさと抱きしめんかい!」
と痛烈に思っていただけに、ラストでしっかりヴァイオレットを抱きしめたことにひたすら感動しておりました。

普段ドラマや映画で、船から飛び降りて愛しい人に駆け寄る姿よりも、殺された犬の復讐のためマフィアを壊滅したり、銀河戦争を親子を通じて観たりしてた方が楽しいと思っていた映画好きにしては、随分と変わったなって思うくらいボロ泣き。

本当に、美しいですよ。ヴァイオレット・エヴァーガーデンさんは。

素晴らしき哉、人生!

ヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品は、様々な人を通じて人の心をわかるようになる、というのが本筋であり、今作もそこはまったくブレずに進行。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンという女性がどのような人生を生きてきたかを辿る旅もこれが最後かと思うと非常に名残り惜しいところであります。

ですが、彼女が書いてきた手紙は本当に多くの人達を魅了し、心を通わせて来たことに間違いはありませんし、それを私達は目にしてきました。
彼女の依頼で書いた50通の手紙が毎年送られるその宛先の娘さんの娘さん(孫娘)の心を動かし、彼女が最後に辿り着いた場所まで導き、そこで手紙を書くことになるくらいですから、それだけ影響力が大きな人物だったかと。

確かに、生まれも育ちも幸せではなかったですし、辛いことも不相応に味わってきている彼女が、1人の男性の言葉のために人生を生きることのなんと素敵なことか。
幾重の人に幸せを運び、最後には自分もついぞ幸せを手に入れたっていうんだから、あまりにも幸福なことです。
久しぶりに、観ていてこのキャラは幸せになって良かった、と心底思った作品でした。

本当に、この作品に巡り会えたことを感謝いたします。





「大馬鹿野郎ーーー!!!  --クラウディア・ホッジンズ」

#鳴海の一人でキネマ
#ヴァイオレット・エヴァーガーデン
#映画レビュー