映画レビュー/概要

676本目 TENET テネット/Tenet
2020年
監督:クリストファー・ノーラン
主演:ジョン・デヴィッド・ワシントン
評価:★★★★

あらすじ
とあるオペラハウスにて、テロ事件が発生する。
この事件はCIAスパイを暗殺するための偽装であった。

要人を救出するためにCIA工作員として特殊部隊に混ざり任務に望む”名も無き男”は救出に成功するが、その後ロシア人達に捕縛されてしまう。
拷問の末、自決をしようと薬を飲んだが、それは自決役ではなく睡眠薬だった。

次の任務のために必要な行動だったとし、謎の男から任務のキーワードを耳にする。

『TENET』。

彼は”無知”を武器に、世界を救うための事件に挑む……。

※今回はネタバレ有りです!※
ネタバレ無しは下記へ
はい、というわけで今回は鳴海の一人でキネマ初の2部作完結編。
TENETを2度鑑賞して2度目の美味しさを堪能いただけるようにネタバレ編を別に記載させていただきました。いつもならめんどくなって適当に記事内に入れちゃうんですけど。

今回推していきたいのは、主人公である”名も無き男”の周りの人物達。
悪役であるセイターも悲しき業を背負った人物ではありますが、個人的に大プッシュしていきたいのは親友と呼べるニール、そしてセイターの妻であり世界の命運を背負うキャットです。

彼がどれだけ名も無き男を助け、果ては世界を救ったのか?
彼を中心に、今一度TENETという作品を振り返っていきたいと思います。

SF考察については散々他の人たちがやっているので、エモい部分を主にピックアップしました。

時間の逆行という概念については鳴海の大好物で、SF王道であるタイムトラベルの要素をふんだんに物語へ盛り込んでいるため、よだれを垂らしながら観ていました。
あくまで比喩なので本当に垂らしちゃいませんが、あれだけ予告で見せられた映画がまさかこんなにSF要素をモリモリにしてくると思っちゃいませんでしたからね。

実際にはスパイアクション映画の要素も相当入っていますが、こちらはSFだけじゃわかりにくい見栄えの部分を画面上に娯楽として昇華させるためのパーツとしてキレイに嵌っていると鳴海的には思います。

というわけで、エモ編へ。

ニール編

ドキドキ感満載のOP。
オペラハウスでの1件は、事前にリバイバル上映された『インセプション』や『インターステラー』『ダークナイト』の公開前にプロローグだけチラ見せしてくれたので、印象に残っている人も多いはず。

実は最初の話にして最後に繋がるという、決定的に重要な出来事の場面であることを後に知らしめられるわけですが、なんと言っても涙なしに語れないのは、”名も無き男”が撃たれそうになってしまうシーン。

初めて”逆行”という謎の概念に遭遇するシーンでもありますが、彼を助けたのが実はニールであったことが判明します。

ラスト、世界を破滅させるアルゴリズムが発動する前に、命を賭けて助けてくれた人物のカバンに赤い紐で括り付けられていたコイン。
それを見て、名も無き男はオペラハウスでニールに助けられていたことを知ります。

アルゴリズムが隠されている深部へ突入する前に、車でクラクションを鳴らしまくって警告していたのも彼です。
こうやって数えていくと、ニールがどれだけ名も無き男を助けてきたかがわかります。

ただ、それはあくまで作中だけの話ですし、何より名も無き男がニールをミッションに誘ったのはラストでわかっているので、本当はこの先で名も無き男がニールを何度も助けたりした恩義から彼を救おうとした経緯があるのかもしれません。
それは流石に映画を何度観てもわからないですが、想像はできる範疇ですよね。

もしそうだとしたら相当あの二人の関係は相当”エモい”です。
ただでさえ、最後に別れるところは男泣きを誘われる部分なので、また最初から鑑賞したら心にぐっとくること間違いなし。

アクションやSFルール、映像美も最高なTENETですが、個人的に推せるのはやはり”相棒"2人が世界を救うという、王道物語の観点というお話でした。

キャット編

子供を実質的に監禁され、自分の人生を失ったに等しいキャット。

彼女のセリフも無駄なく使われるあたり、さすがのノーラン。
キャット曰く、セイターに対する怒りを名も無き男に打ち明けるシーン。
※確かヨットで話をした時だったはず。

「ヨットから去った後に彼が海へ。そして、他の女も一緒に海へ飛び降りた。そんな彼女を羨ましく思った」的なセリフがあったんですけど、結局これって【過去に逆行し、セイターを海へ突き落とした自分】だったわけです。
羨ましいと思う人=自分というわけで、無事彼女の願いは叶ったということ。

ちなみに、”記録”を残せと携帯?を渡されたシーンがありますが、そこの下りは皆さんおわかりの通り、プリヤに襲われる前に残せたため名も無き男に助けられたということです。

個人的に「あれ、この電話みたいなやつの下りってちゃんと処理されるのかな?」と思ったら最後の最後でしっかりキャットを救い、その後は世界を救うために動き出す。
キャットとマックスの後ろ姿からスタッフロールへ……。

は?神映画じゃん???

なんだかみんなに持ち上げられすぎて観る気が無いと思っている人が、何かの間違いでこの記事から読んでしまった場合は、次の土日のどちらかで必ず観ていただければ幸いです。





「黄昏に生きる。宵に友無し」

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