映画レビュー/概要

362本目 遊星からの物体X ファースト・コンタクト/The Thing
2011年
監督:マティス・ヴァン・ヘイニンゲン・ジュニア
主演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
評価:★★★


あらすじ
南極大陸で発見された、謎の地球外生命体。
調査チームは生体を調べようとするが、氷の中で生きていた謎の生命体は蘇生し、外部へ逃げてしまう。

調査隊は謎の生命体を追い、倉庫ごと焼却する。
死体を解剖したところ、細胞はまだ生きていることを知り、更には他の細胞に擬態化できることを知る。

全てが終わったかに思えたが、調査隊員に擬態した謎の物体が、隊員たちを襲い始める……。



どうして”あの犬”を襲おうと思ったのか

映画ファンにトラウマを与えたSF映画の傑作、『遊星からの物体X』の3日前を描く。
いわゆるビギニングものとして展開するため、公開前の邦題は『遊星からの物体X ビギニング』だったとか。
エクソシストも、パラノーマルも、とりあえず邦題に”ビギニング”を付けておけば、一定のファンは鑑賞するだろう、的なノリで付けられガチなんですけど、個人的には一作目を超えることのできない補足作品、みたいに思えてしまうので、正直タイトルにビギニングが付いている作品でおすすめできるものは少ない。

しかし、今作に関しては補足的要素は強いものの、単体としての楽しさは十分にあると思えました。

一作目よりもリアルな変形描写、物体の解明など、楽しめる要素はいくつもあります。
逆に言えば、二番煎じ的な要素も多いため、結局は一作目を超えることはできなかったわけなんですが。

ネタバレ(※一作目を観ていれば顛末は絶対に知っている)

一作目の最初のシーンである、犬を追いかける隊員は、どうして犬を殺そうと思っていたか?
それはつまり、擬態化した物体であることを知っていて殺そうとしていたから、というのは今更言うまでもないお話ですね。

そこに繋げるために一本の映画が出来上がったわけなんですが、中盤以降の疑心暗鬼展開は一作目を踏襲した作りになっており、「遊星からの物体Xと言えばこれだよなぁ」と思わせてくれる楽しさがあります。

何よりいいなと思えるのは、一作目を観ていなかった人に、『遊星からの物体X ファーストコンタクト』→『遊星からの物体X』という流れで観てもらっても、なんの違和感もないことです。

CGによる擬態の演出については流石に違いがありますが、そこに至るまでの流れや楽しさについては崩されることなく展開していくので、知人の方で観ていない人が居たら是非ともオススメしてみてください。

カート・ラッセルとまではいかないが

今回の主人公も臨機応変、かつ勇者かと思うような豪胆さで物体と対峙します。
一作目の主人公というよりも、『エイリアン』のリプリーを彷彿とさせてくれるような主人公ですね。

リプリーよりかは博士ポジとしての設定が強めになりますけど。

彼女がどうなったのかは、いつの日か出てくる続編か何かで語られるんでしょうか?
一作目がハッピーエンドかバットエンドかも分かれるところなので、そこらへんを決定的にする作品が出ても面白いような気もします。

いや、でも出ない方が無難かもですね。
というのも、伝説級な語られ方をする作品の続編って物語の展開を凄い気にする人たちの方が多いですし、新しい展開を作ること自体がリスクになってしまうこともあるので。

ともあれ、今作は前日譚としてはキレイにまとまっていると思うので、一作目を観ていないSF好きな方もご鑑賞ください。





「細胞を擬態している……。  --ケイト・ロイド」

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