映画レビュー/概要

361本目 遊星からの物体X/The Thing
1982年
監督:ジョン・カーペンター
主演:カート・ラッセル
評価:★★★★


あらすじ
南極大陸。
一匹の犬を、銃や手榴弾で必死に殺そうと追いかけるヘリが一機あった。

アメリカの調査団はそのヘリの乗組員とコンタクトを取ろうとするが、誤って射殺してしまう。
真相の究明を行うべく、観測基地へと向かった一行であったが、その後おぞましい怪物に遭遇することになる……。


SF映画の傑作

宇宙から飛来したエイリアンに人々が襲われる映画は古今東西ありますが、
・南極で
・正体不明の物体に
・疑心暗鬼となる状況を作り出され
・誰が”何か”になっているかわからない
・脱出不可能な状況で立ち向かう
というシチュエーションは、この作品が初?ですかね。
元々は『影が行く』というSF小説の実写化で、実写化されるのは二度目になります。
51年の実写化よりも原作に忠実な形で映像化しているので、どちらが面白いと思うかは賛否が分かれそうなところですね。

だから初めてにはならないか……。

「SF映画と言えば何が好き?」という話題で、SF映画好きが集まったら必ずこの映画を出す人は絶対に居るはず!居なくても居てほしい(希望的観測)。

最大の楽しさは最大の疑心暗鬼

どこに居るかわからなかったり、透明で見えないという恐怖は別映画でもありますが、今作の一番の見どころは「誰が”あれ”になっているか?」という所。
※『エイリアン』『プレデター』等のSFキャラクター達は、そういう要素で楽しませてくれますよね。

序盤は何故犬を殺そうとしているのか?から始まり、やがて殺そうとした意味を知り、自分たちの中にも”あれ”が紛れているのではないか、という恐怖に襲われる。

人間同士の騙し合いによる不安と裏切りとは違い、”あれ”になった証明をどう行うかを考えていくあたりもまた面白い。
SF映画の楽しみ方の広がりを教えてくれる一作ですね。

そして最後に一つ外したくないのはクリーチャー造形。
次の項目でも記載しますが、この出来栄えがまた素晴らしい。
とにかくグロテスクかつ、宇宙からのクリーチャーとして最高の造形だと思います。

めっちゃ褒めてますけど、そう言ってしまうくらい好きです。

再度リメイク予定???

2020年2月現在のお話ですが、どうやら『遊星からの物体X』をリメイク化する方向で動きがあるそうです。

原作小説の完全版となる『Frozen Hell』を映像化することを目指しており、あの謎の物体との交戦が新たに描かれるとのこと。

しかし、今作の良さはCGに頼らないことによって生み出される、生々しい醜さが一つあると思うので、そこがCG処理されたことで作品の楽しさが逆に落とされないかが心配。

とはいえ、SF作品としては非常に楽しみなので、続報を待ちましょう。





「”あれ”は火を嫌う……。  --R・J・マクレディ」

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