映画レビュー/概要

794本目 ラム/Lamb
2021年
監督:ヴァルディマル・ヨハンソン
主演:ノオミ・ラパス
音楽:ソーラリン・グドナソン

目次
  • 評価:★★★
  • 犬だけは……犬だけはどうか……。



  • 評価:★★★

    怪奇という言葉を被った平穏な生活のクライマックスが鬼

    羊飼いの夫婦が娘を失って悲しみに暮れる生活を送っているが、とある日なんと羊から半分人間半分羊という生き物が生まれた。
    だが、夫妻は気にせずにその生き物を我が子のように育てていく。

    一体その生き物はなんなのか……。
    と、固唾を飲んで2時間近く鑑賞したわけですが、事前に考えていたような内容では決してなく、あまりにも平和で仲睦まじい日々が続いていました。

    ラストに羊男が現れて、旦那さんを撃ち殺す衝撃のショットがいきなり写った箇所は顎外れるかと思いましたよ。
    いやいやいや、いきなり出てきて銃撃つのかよお前っていう。
    最終的に、夫妻はその生き物を育ててしまった自業自得的なオチではあるものの、その育てていた”アダ”は両親に愛着を持っており、かつ父親が死んでも離れないという仕草を見せる始末。

    夫妻が娘を失っているというバックボーンが分かっているからこそ、この異様なのに美しい家族の絆に涙する間もなく「これで終わりかよ!」と叫んで終了。
    あまりにも衝撃的でしたし、映画祭で賑わうのも納得な作品ですが、あまりにも違和感のある生活に感情移入するかどうかの境目をスレっスレで終了したので★3つという着地に。
    これも★4つよりの★3つなので、もしもう一度観る機会があったら変わる可能性もゼロではないです。

    とにかく、衝撃的な作品でした。

    犬だけは……犬だけはどうか……。

    ぶっちゃけ、アダが覚醒して両親も訪れた弟も殺してバッドエンドになるかと思っていました。
    いや、旦那さん殺されてアダが連れ去られてしまうのでバッドエンドであることに変わりはないでしょうけど。

    牧羊犬として飼っていた犬だけはどうか無事であれと思っていましたが、残念ながら殺されてしまいましたね。劇中一番これが悲しかったと言っても過言ではありません。

    妻が母羊を殺してしまうシーンも結構悲しいところでしたね。
    とても普通とはいえないような姿で生まれた個体ですが、自身の子供が恋しくてずっと窓近くに来て鳴いているっていう母性を感じさせるところですから。
    そんな母羊は射殺され呆気なく退場してしまうんですが。

    楽しく過ごしている生活の裏であんなにも悲しいことがあったんだと思うと、やっぱりこの作品、どちらかというと心温まるというより悲しみの方が大きいのかもしれません。





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