映画レビュー/概要

800本目 空の大怪獣 ラドン
1956年
監督:本多猪四郎
主演:佐原健二
音楽:伊福部昭

目次
  • 評価:★★★★
  • やっぱり最後のシーンは触れていきたい



  • 評価:★★★★

    へこへこしているラドンじゃなくて、”生物”としてのラドンを生々しく観られる

    まず冒頭に、この記事を書くことがめちゃめちゃ遅くなったことを一緒に映画を観に行った友人へ謝罪いたします。
    誠に申し訳ございません

    と、99.9%の人に関係ない話からスタートしますが、この作品を敢えてレビューするのは2022年末に4Kリマスターで上映されたこのラドンを鑑賞しに行ったからです。

    さて、この作品は東宝怪獣映画作品としては初のカラー映画ということで、ゴジラに続く巨大怪獣映画としては世間として目新しく映る頃。
    あの怪獣王が地上を蹂躙していたのに対し、こちらは空を制する怪獣として描かれました。

    そんなラドンをよそ目にこの映画で非常に印象深いシーンを数々残してしまうのは、ラドンよりも先に登場するメガヌロン。
    そもそも、メガヌロンが居るからラドンがそれを食べて成長するという食物連鎖のサイクルが面白いのであって、子供的には序盤~中盤の犯人探しってあまり面白いと思えないんじゃないかと大人視点で思っちゃいましたね。
    ラドンの前にトラウマを植え付ける幼虫メガヌロン。
    あの声、一度聞いたら忘れられないレベルですし、人が呆気なく殺されるのもまた子供の頃これをじっくり観ていたらどれだけ印象に残っていたことでしょう。

    しかし、ラドン御大将もこの作品では痛烈に印象を残しています。
    突然恐竜時代に人間達が放り出された感覚はゴジラにも似た部分があり、ラドンもまた「コイツどうするよ!?」と困惑させる怪獣物語としては王道を往く流れですよね。
    放射能を撒き散らす大怪獣に比べ、とある生物の生態を観ているような感覚になるのは、メガヌロンを食べて成長したラドンが阿蘇山を中心的に活動する一連のシーンが想起させているのでしょう。

    人間サイドとしては「被害がヤバいからあの怪獣を殺さねば」という心理で観てしまうし、登場人物もどう殺すのかを議論するわけですが、ラドンからしてみればメガヌロン食べて成長して空飛んでいるだけですからね。
    そこに哀愁をどことなく感じさせるのがこの作品の良さに繋がっているように思えます。
    驚異に対して人類がどう立ち向かうのか?という楽しさもありつつ、怪獣映画定番の街を破壊する楽しさ。

    両方とっても楽しめる作品なので、★4つにしています。

    やっぱり最後のシーンは触れていきたい

    あまりにも有名すぎて今更語っても目新しいお話ではありませんが、ラドンが最後に事切れるシーンで、文字通りピアノ線が切れて落下するシーンをNGではなく敢えて使ったのは本当に素晴らしい采配だと思います。
    命が燃え尽きる表現に見えるのは偶然の産物とはいえ、生き物であるラドンが人類に被害が出るからと殺されてしまった悲しさを更に感じさせる一幕。

    燃え尽きるラドンを見て終幕してしまうからなのか、本当に物悲しく終わるエンディングだと改めて思いました。
    このシーン、胸にぐっとくるので怪獣映画の中でも非常に印象深いシーンです。

    皆さんは今作を見てどう感じられましたか??
    もしご意見ある方は是非コメントでお寄せください。





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