【ネタバレあり】789本目 すずめの戸締まり │ 戸締まりしきれない気持ちが
映画レビュー/概要
789本目 すずめの戸締まり2022年
監督:新海誠
主演:原菜乃華
監督:新海誠
主演:原菜乃華
音楽:RADWIMPS、陣内一真
目次
あらすじ
評価:★★★
ダイジン、お前は一体何がしたいんだ
あらすじ
九州の静かな町で暮らす女子高生の岩戸鈴芽(いわと すずめ)は、登校中に髪の長い男性を目撃する。
人目惹かれた彼女は自転車を止め振り返ると、男性も振り返り廃墟、そして”扉”について尋ねられる。
廃墟の方角を伝えて別れるが、引き寄せられるように彼の後を追う。
向かっているであろう廃墟の中に1つの扉だけがぽつんと立ち尽くしており、鈴芽はその扉を開く。
変哲もない扉かと思ったが、その扉の先にはとても美しい風景が広がっていた。
足を踏み込もうとするが、その風景に飛び込むことができない。
足元にあった石のようなものを持ち上げてみると、その石は形を変え生き物のようにどこかへ走り去っていってしまった。
怖くなった鈴芽は学校へと戻っていく。
朝から不思議な光景ばかりを見ていた鈴芽は、昼休み中に学校の窓から異形の物が廃墟から飛び出しているのを目撃。
あの扉に何か関係しているのでは、と思い学校を飛び出すのだが……。
評価:★★★
新海誠作品最新作(2022)。
映画館の公開回数でちょいと世間を賑わせている真っ只中ですが、幸いにも札幌に住む鳴海はその論争をあまり気にするほどではないレベルだったのでスルーしました。
さて、肝心の中身と言えばシンプルに「面白い」というにはめちゃめちゃ難しいと感じています。
この作品を観てストレートに「面白かった!」という感想を言える方はとても裏を読むのが上手い方か、鳴海のように捻くれた考えをせず本当にシンプルにアニメ作品を楽しめる方なんだと思います。
現状まだ1回しか鑑賞していませんが、今のところ★3つの並かちょっとそれより上か?くらいに留まっています。
圧倒的映像美については想定どおりですし、主人公たちも魅力有り。
ロードムービーとしての楽しさも有り、と結構褒めている感じになりますがそこまで言っておいてなんで★3つなんだよ、というのは次の項で大いにお話させてください。
ダイジン、お前は一体何がしたいんだ
この作品において中核となるのは、閉じ師の仕事である後ろ戸を閉めなければならないという点。
ボーイミーツガール要素もあったり、2011年の震災についても(大々的には用語を使っていませんが、間違いなくその件)絡めている、今までの日本作品において話として取り入れることがどこかタブーめいた状況だったところまで踏み込んでいる。
それぞれの要素について、というよりも真っ先にツッコミを入れたい点が。
ダイジンは出会って早々に草太さんを椅子にしますよね?
それも明確に「お前は、邪魔」と。
どうして草太を椅子にしたのか、という話のド中心となる要素について明確に語られていないままに終わっていったと思うんですが、もし鳴海がアホだとしたら誰か説明いただけると大変助かるところです……。
リピートして理解できる点ではあるかもしれませんし、なんとなくこれかな?と思える部分はあるのですが、どうしてもそこが引っかかっているせいでスッキリと観られることができませんでした。
サダイジンについても同様です。
環が本音を話す下りのところでめっちゃラスボス感出そうな立ち位置だったのに、何を一緒に楽しそうな旅行してるんすか!
それもミミズに対して真っ先に挑むイイヤツ感出してますけど、こっちは混乱する一方ですよ!!!
椅子にした理由がもっと明確であればこんなに歯切れ悪いように思うこともなかったかと思いますが、いかんせんヒロインが心惹かれる相手に起こった出来事ですからね。
そりゃなんとなーくで頷くのはちょいと難しく。
ちなみに、それ以外の家族絡みのお話や列車、フェリー、車を使ったロードムービーとしての楽しさや、数々の人の性癖を歪めた(もしくはドストライク)草太さんのご友人について等、サイドの部分における面白さは素直に推せるポイントです。
自分に向き合う、折り合いをつける、ということに対しての”戸締まり”。
そして”いってらっしゃい”という言葉がとても胸に響くのはいくつもの要素が重なった結果ではあると思っています。
こんだけ言ってたら★4つ以上になりそうなもんですが、ここは何度か観て感想が変わるかもしれません。
変わったら追記いたしますので、もしダイジンについて明確にご説明いただける方がいらっしゃいましたらツイッターのDMやブログのコメントでいただけると大変うれしいです。
最後に付け加え。
椅子になった草太が自分ひとりで行くと豪語した後に、すずめに足一本持たれてぷらーんとなっている状態の時が一番笑った気がしますw
#鳴海の一人でキネマ
#すずめの戸締まり
#映画レビュー
草太も途中要石になっちゃうけど、ダイジンとサダイジンも元は人間だったのかなーと。サダイジンはおじいちゃんと面識があったり、大人っぽい印象があるから元々閉じ師の家系の人が変わったのかな?ダイジンはある種無邪気で残酷な言動から子供が生贄となって要石にされたのかな、と思った。草太をイスに変えてしまったのは、ダイジンが偶然とはいえすずめに暗くて孤独な封印から解いてもらった事、優しくしてもらった事からすずめの事を気に入って、自分を封印しようとする草太が邪魔だったんじゃないかしら。そばにあったイスに変えたのは...すずめや母親の想いがあの場で一番詰まってる物だって本質的にわかったからかな...この辺は余り自信が無いな。後はサダイジン...なんで環さんに乗り移ったかだけど、良くも悪くも神は本質的に人の願いを叶えるモノだから、本音を吐き出させて2人の間にわだかまっている問題を解決しようとした?環さんにすずめを連れ戻されると草太も元に戻せなさそうだしね。ダイジンとサダイジンは色も白と黒だし表裏一体、陰と陽な関係っぽいよなあ。今作も一度見ただけじゃ中々難しい。冒頭すずめが目を覚ました時や、常世にもいた2匹の蝶なんかも気になる。小説版まだ読んでないんだけど読めばまた印象変わるかしら?
返信削除yusukeさんコメント感謝です!!
返信削除>ある種無邪気で残酷な言動から子供が生贄となって要石にされたのかな、と思った。草太をイスに変えてしまったのは、ダイジンが偶然とはいえすずめに暗くて孤独な封印から解いてもらった事、優しくしてもらった事からすずめの事を気に入って、自分を封印しようとする草太が邪魔だったんじゃないかしら。
草太最初は結構優しそうな顔をしてダイジンのこと見てたんですよね。普通に猫を見るような。
これが明らかにダイジンに対して「お前は要石なんだから黙って後ろ戸守ってろ!」みたいな描写があったら凄いわかりやすかったんですけど、あの流れだとなんら敵意無い状況だったので腑に落ちなかったんですよね。
もちろん、記載してもらったような背景はあり得るんじゃないか?とはたしかに思ったりはしましたし、再び要石に戻りたくないという意識もあってのことだと考えられなくもないですが。
そこらへんが具体的にわかるような流れではなかったように思えたので、これが最大のモヤポイント。
考察が楽しい!と言える作品ではありますが、この躓きが個人的にどうしても理解できず……。
せめて、ここらへんの筋がわかりやすい上でこういう背景考えられる形であれば最高だったかもですが!
※あくまで鳴海個人の感想です。
>小説版まだ読んでないんだけど読めばまた印象変わるかしら?
これ同意見で、小説で補完されている可能性はあるなと。
ただ、そうなると映画としての描写不足なんじゃないかなぁと思ってしまい中々難しいとやはり腕を組んで唸ってしまう状況です。
とはいえ、こうしてお話できる作品ではあるので楽しい作品であることに違いは無いと思っています。
この辺の描写をもう少しして欲しかったのは正直同意するw
返信削除>あの流れだと敵意無い状況だった~
この部分に関しては、草太が後ろ戸を閉じに来た時点でいずれまた自分を要石にしようとする閉じ師だっていうのがわかってたんじゃないだろうか。後は猫の姿になった後、最初やせ細った姿で描かれてるけど、すずめが好意を寄せた事によって元気な姿になるじゃない?その事で一種の「信仰」を得られたんじゃないかなー、と思うのよね。一般的に神様って人から信仰されなかったり忘れられたりすると、どんどん弱っていく印象がある。だからこそ、自分を解放して好意を寄せてくれたすずめを純粋な嫉妬心から独占したいと思ったんじゃないかな。草太が要石になった後すずめに嫌いって言われてまたやせ細った姿に戻っていたしね。そもそもすずめが要石を抜くことが出来たのも力が弱っていたからなのかな...という妄想w
小説版で補完するのは勿論アリだけど、映画単体としてもう少し納得しやすければ尚良かった感はあるねえ。
助けられたことや、その後の内容を鑑みると間違いなくすずめに対して好意を抱いたのは間違いないですからねー。
返信削除ロードムービー部分の方が個人的にめっちゃ好きだったので、細かいこと取っ払えば笑える作品ではあるんですけどw
それと、後ろ戸の先の描写とその世界の時間に対する概念、ここもめっちゃ好きでした。
ロードムービーな部分もめっちゃいいよねえ。シンプルだけど、各地で色んな人のお世話になりながら進んでいくのが凄く好き。天気の子の時は自分達だけで逃げようとしてたから対比を感じるなあ。椅子状態の草太さんもかなり好きだったw
返信削除常世では全ての時間と繋がってる、っていう設定も凄く好き...子供の頃の自分と少し大人になったすずめが交わるのも王道だけど良いよね。映像描写も相変わらず圧巻だったし...こうして語り合ってる時点で監督の思うツボなんだろうなあw