映画レビュー/概要

457本目 スプリット/Split
2017年
監督:M・ナイト・シャマラン
主演:ジェームズ・マカヴォイ

あらすじ
ある日、3人の女子高生が何者かに監禁される。
窓のない部屋。
あまりにも恐ろしい状況の中、1人の男が代わる代わる入ってくるが、どこをどう見ても同じ人物。
しかし、入ってくるなり話口調も服装も違う。
その違和感に気づいた女子高生達は、それを逆手に取りなんとか脱出をしようと試みるが……。

評価 ★★★
M・ナイト・シャマランが監督をする第11作目。
実は『アンブレイカブル』の続編に位置するため、こちらを観ていた方が楽しめる一作。

何が良いって、ジェームズ・マカヴォイの演技が最高すぎる点です。
多重人格のキャラクターを演じるということで、老若男女問わず成り切って演じるわけなんですが、物語に絡めた喜怒哀楽がハッキリ画面上に表され、1人1人の人格の特徴が手にとるようにわかるという、彼の実力が真正面に出ている状態。

彼が演じるキャラがメインとなり、誘拐された女子高生たちが脱出できるのか?が焦点になりますが、

  • そもそも、誘拐犯は何者なのか?
  • 誘拐犯の秘密とは?
  • 実は繋がっている『アンブレイカブル』との接点は?

ここに注目すると実に楽しめますし、後半に判明される「え、それほんと??」っていう事象がとんでも無い方向に進んでいく点も必見。



目次
  • シャマランユニバース2作目
  • 23人の人格…だけ?



  • シャマランユニバース2作目

    ブルース・ウィリス演じるデヴィッド・ダンが活躍した『アンブレイカブル』。
    こちらをご覧になられていない方は是非見て欲しいという大前提のもとお話をさせていただきますが、今作はその作品の10年以上後ということになってます。

    話はまさしく平凡に暮らしていた女子高生が何者かに誘拐されるっていう筋書きからスタート。
    誘拐犯がこれまたヤバい奴で、明らかに頭のネジがぶっ飛んでいる。

    誘拐されているってだけで怖いのに、多重人格なせいで混乱に次ぐ混乱。
    言わずもがな同じ状況だったら漏らす程怖いんでしょうけど、映画として観ていると、

    • 誘拐犯は一体何者なのか?
    • 女子高生たちは逃げられるのか?

    の2点が主軸となり、観ていて飽きないと思いましたね。
    ソリッド・シチュエーション・スリラーな要素として、監禁部屋からいかにして脱出するか?は付き物ですが、やはり一番の魅力は何故こんなに人格がある人間が、誘拐を行ったのか?
    そして、その人格達が隠す”何か”の正体とは……。

    中盤以降、文字通り何が起こるかわからない展開は流石シャマラン監督作品だと思いました。
    それまで批判を受けまくる作品ばかりだったので、初期のシャマラン作品が好きな人にとっては結構好印象だったような。

    23人の人格…だけ?

    本記事、ネタバレしてしまうと折角のラストの楽しさが半減してしまうので控えますが、いやーーーマジで喋りたくなる要素がw

    これは次回作の『ミスター・ガラス』でお話するとして、後半なんでそんなに掻き立てられるのか?っていうところですが、一応『アンブレイカブル』を未見の方用に補足も含めて記述しておきます。

    本当に一部の人間ですが、この世界には”超能力”のようなものを持った人物が居ると考えており、それがどこに居るのかはまだ世間には大っぴらにはなっていない状況。
    そんな世界観とキャラクター像があるため、今作でもその絡みの話が中盤以降主軸となり、女子高生達が悲鳴を上げる要因になるわけです。

    これがまた面白い要素ではあるんですけど、個人的に不満となったのは折角の多重人格設定をヒーロー(というかヴィラン)寄りの要素か、スリラー作品の事件解決までの筋道がカッチリとハマる爽快感のどちらかに振り切って欲しかったというのが感想です。

    こんな物語でそこは求めすぎなのかもしれないんですが、冒頭からずっとお伝えしている通り、ジェームズ・マカヴォイがこんなに怪演しているからこそ、そういった部分にもっと求めたかったと思った次第です。
    よって★3つ。

    前者についてはビックリするけど、めっちゃすげぇって言うには昨今のヒーロー映画を観ていると印象薄れますし、後者についてはそのビックリのために時間を使ったり物語を着地しなければ、っていう筋道のお陰でこれまた薄まったのではと。

    ご覧になられた方はどんな感想でしたか?
    まだ観てない方は、次回作『ミスター・ガラス』含め鑑賞後に是非お話したいですね。

    最後に、御大将のセリフがツイートでありましたので掲載させていただきます。


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