映画レビュー/概要

765本目 ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス/Doctor Strange in the Multiverse of Madness
2022年
監督:サム・ライミ
主演:ベネディクト・カンバーバッチ
評価:★★★★

あらすじ
スパイダーマンとの一件から5ヶ月後。
とある夢を見たストレンジは、その夢で出てきた少女が謎の怪物から追われているのを現実で目撃。
彼女はただの夢ではなく、ストレンジが見ていた夢は別宇宙”マルチバース”の出来事であった。

※本記事はネタバレを含みます。



目次
  • これぞマッドネス
  • 幸せとは



  • これぞマッドネス

    いよいよ28作目となったマーベル・シネマティック・ユニバース。
    『ドクター・ストレンジ』の続編かつ『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』の続編ということで、期待値が大気圏超えちゃってるわけなんですけど、それでも楽しい作品を出してくるからヤバいですよMCU。

    さらっとツイッターで色んなご意見を見ていると賛否があるようですが、それもそのはず。
    そこに一投したいわけではないので個人感想をそのまま連ねていこうと思いますが、何から整理すべきか……。

    めっちゃ細かいんですけど、MCUのロゴが最初に出るじゃないですか。
    あれ、今回はストレンジの過去シーン中心で構成されていて、ああいう細かいところもしっかりと手入れしているあたり好きなんですよMCU。
    なんてことはない場面ですけど、そういうところからファンの心をくすぐってくるのほんと上手いですよね。

    開始から別世界のストレンジが犠牲になるわけですが、それもただ死ぬだけではなく後半回収する上でめっちゃかっこよくサム・ライミらしい演出で登場させるっていうどちらのファンも喜ばせる仕事っぷり。

    シュマゴラス似のガルガントスとの戦いが早速始まる等、序盤からトップギアで進んでいく構成。途中で息切れしないかと心配していましたがそんなことも無く。
    ワンダが今回はバリバリの悪役ポジションになっていて明らかに強すぎる魔術を展開したり、マルチバース移動の描写が映画館だとヤバすぎたり(語彙力皆無)、イルミナティが想像を超えるメンバーで構成されていたり……。
    アカンです、話すことが多すぎる。

    ピックアップするならやはりイルミナティでしょう。
    予告編からずっと想定はされておりましたが、イルミナティというのはマーベル・コミックの原作でもあるとおり、ヒーローチームの代表が集まり事前に問題収集をするために会合するための秘密結社。
    MCUで登場するこのイルミナティは、MCUを追っている人にも過去のマーベル映画を観ている人にも、果てはドラマ版を観ている人にすら嬉しい豪華な構成。

    一番驚いたのはファンタスティック・フォーのリード・リチャーズが出ていることでしたが、嬉しかったのはアニメ版のホワット・イフに登場していたキャプテンの実写化ですね。
    彼女が盾をぶん投げながら戦うのをもっと観たかったところですが、残念ながら……。
    そしてやはり出てきたか、というところのプロフェッサーX。
    彼がまたスクリーンに出てきたのは本当に嬉しいことですし、早くMCU版のX-MENも観たいと改めて思いました。

    そんなファンがよだれを垂らすシーンが続いているにも関わらず、終盤はサム・ライミファンが喜ぶホラー演出の数々。そしてあまりにもカッコいいゾンビ・ストレンジ。
    いやもう、バラバラと書いていますが本当に楽しい作品でした。
    これはリピート不可避ですわ。

    ただし、ワンダファンの方の怒りもごもっともでは……。
    でも、逆に考えてみて下さい。
    魔術のせいで虜になったとはいえ、もし自分が別世界と言えども愛する人とまた暮らせると思ったら同じことやりますよね?
    だったら、もう幸せになってくれという観ている人の気持ちは抜きに本人がああいう行動をしてしまうのもまた肯定してしまうかなと鳴海は思いました。
    悲しいけれど、こういう話になってしまうのも無理はないな、という解釈です。

    ただし、ドラマ版の回収としてアガサがタッチしない話になってしまったのはちょっとしたズレを感じており。
    しょうがないんですけどね、きっと今後出てくるんでしょうし尺とか考えたら観客に与える情報量多すぎるので。
    ただでさえ多いのに、これ以上出すのは健全ではないという判断もまたしかり。

    でも、やっぱり、少しでもワンダに救いが欲しかったのは間違いないです……。

    幸せとは

    敢えて途中で抜いて書きましたが、この物語には”愛”もテーマとして描写されるシーンがかなり多かったように思います。
    ここは一作目のストレンジのエンディングについても触れる部分にもなりますが、序盤クリスティーンから幸せか?と尋ねられ、ストレンジは幸せ、と答えました。
    ただ、どこかその回答は本心ではないような。

    これって、恐らく皆さんも結構あったりしますよね? 鳴海はかなりあるなと思いました。
    例えば職場の人や友人から「元気?」って聞かれた時に「元気ですよ」と回答する時のように、その時本心ではないけれど辛いとか厳しいとかいうとモチベーション下げちゃいそうとか、余計に心配させてしまうだろうから言えない、というような心境からくる回答です。
    実際、ストレンジは心の底ではクリスティーンとの折り合いがついていないにも関わらず「幸せ」と回答しました。

    それに対する結論が終盤で描かれるわけですが、ここの下りがあまりにも深い。
    彼は別宇宙のクリスティーンではありますがどの宇宙でも愛していると伝え、壊れて止まっていた時計を直して時を進める。
    彼の中で整理がついていなかった心がようやく動き出したことを示唆するシーンとして、続編としての結末への持って行き方が最高of最高。

    余韻に浸っていたのに第三の目を開眼させて驚かせるあたりサム・ライミめ……!とも思いましたが、そういう終わらせ方をしてくるのもサム・ライミらしさを感じられて良かったといえばよかったですw

    とまぁ、普段よりも文量3倍以上で書いている通り、この映画について語れることは本当に沢山多いです。
    確かにMCUがこれだけ積もってきたらめちゃめちゃ喋られることは多いのは当然あるにしろ、MCUとしての楽しみだけではなく映画としての楽しみを沢山提供してくれているこの作品と出会えたことは純粋に感謝です。





    「それって不公平よね。  --スカーレット・ウィッチ」
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