映画レビュー/概要

732本目 オールド/Old
2021年
監督:M・ナイト・シャマラン
主演:ガエル・ガルシア・ベルナル
評価:★★★★

あらすじ
リゾートに訪れた4人の家族。
秘密のビーチがあるということで来てみると、他にも数名の客がそこに居た。

青い海、キレイな空に魅了され気持ち良く過ごしていたが、時が経つにつれてこのビーチの異変に気づき始める。
M・ナイト・シャマランといえば『シックスセンス』に代表されるスリラー作品を数々作り上げて来ましたが、今回は”どちらかと言えば”面白い方のシャマラン作品に入るものかと。

最後の最後まで徹底して”1日で一生分の時が過ぎる”という恐怖に苛まれ続ける描写を延々と観ることになったのは苦痛ではありましたが、それでいて人が一定の時を過ごすことの意味を深く考えさせられる作品に仕上がっています。

自分がこのビーチに居たら最後まで謎解きをするよりも、自暴自棄になって終わりな気がします。
この映画を見て一番に思うところは、普段から楽しく幸せに過ごせるのが一番ってことです。

この終わり方だけは絶対にしたくない

様々な事情を抱える家族が複数人集まり、ビーチの異変に気づく。
それは、1日が一生分進むということ。
あくまでバリバリのSF設定というわけではなく、ビーチを囲っている特殊な鉱石によるもの、と設定説明がされています。

なので、そこから脱出を試みようとするものの、鉱石の影響により脱出することができない。
ここで、ソリッドシチュエーションスリラーの要素が超絶に発揮され、お互いが疑心暗鬼になったり、徐々に自暴自棄になる人も出てくるわけです。
ここらへんの描写は流石のシャマランと言わざるを得ません。

観客は第三者の視点として冷静に見れますが、実際にこういう場面に直面した人たちは劇中の登場人物達のように慌てふためくに違いないでしょう。

特に面白い点は、矢継ぎ早に問題が出てくる箇所です。
子供が生まれる、時間が進むことによって老化症状が出てしまう。
身体に病気を患っている人はその病気が進行してしまうなど、次から次へと問題が発生します。
ですが、父親のガイが最後に悟ったことのように、つまるところ家族で過ごせればどんな状況でも、どんな過去があっても幸せというのはある意味真理かもしれません。
ああいう終わり方ができればある意味美しいですから。

最後には2人の子供は生き延び、ビーチに誘った悪徳医療会社の全貌を暴くスッキリな仕上がりですが、これがただ絶望だけで終わっていたらもっと辛いものになっていたに違い有りません。
あそこまでの苦痛を見せられながら、いやー駄目でしたねだけで終わったら怒りすら湧くレベルです。

そんな状況の中、せっせと作中に登場する監督のM・ナイト・シャマランは今回重要な役で登場。
いつもながら良く出てくる人だなぁと思いつつ観ていましたが、今回は思った以上に重役だったので流石に笑ってしまいました。





「必ず抜け道はある。  --ガイ・カッパ

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