映画レビュー/概要

728本目 竜とそばかすの姫
2021年
監督:細田守
主演:中村佳穂
評価:★★★

あらすじ
田舎に住む女子高生のすずは、インターネット仮想空間のUで歌姫として人気を博していた。
Uで盛大なコンサートが開かれるが、突然黒い竜が現れ……。
『未来のミライ』以来、3年振りとなる細田守監督最新作。

ストレートに言えば、劇場で観る価値はありです。
特に、音楽と映像の良さは細田監督作品の中でも随一。絵画鑑賞(ほとんどしたことないですけど)したりとか、音楽鑑賞(そんなにしないですが)することをこの映画ではいっぺんにできちゃいます。
鳴海はIMAXでこの映画体験ができたため、それだけでも満足度は非常に高いです。

が、物語に難がありすぎて凄い引っかかります。
恐らく、というかほとんどの人はそこが気になりすぎてマイナス印象が大きそうですね。

その理由については次の項目にて。

圧倒的映像美・音楽美

圧倒的映像美はネット空間の描写とライブ映像。
どれだけ時間かけて作り上げたんだこれは……って思わされるような映像の数々。
歌については中村佳穂の挿入歌全てが素晴らしく、かつ主人公すずの演技もキャラクターにぴったり。

ここまでは誰もが思うプラスの面。
そして、ここからが恐らく皆さんが思っているであろうマイナスの面。

・竜のことを追いたくなる理由が薄すぎる
・明らかに美女と野獣をやりたかっただけでは?
・その救い、本当に救いになってますか??

さて、後半になればなるほど疑問が解消されずもやもやされてしまうのは、竜のことをどうしてそんなに気にしちゃうの?っていうところです。
そんな危険なキャラがいきなり来たら、単純に畏怖の対象になるだけだと思いますが……。

そしてそんな中織り交ぜられる青春まっしぐらな甘酸っぱい恋愛描写。
Uの美しさと青春の1ページだけでも十分に面白かったのに、突如現れた現実の壁。
これがまた観た後のもやもやが加速しちゃうわけです。

このバランスは

よろしくお願いしまあああああす!!!ってな感じで終わればスッキリしたかもしれませんが、残念ながらそんなことはなく。
全てが全てハッピーエンドじゃなければいけない、という風には考えていませんが、プラス面とマイナス面のバランスだけは保ってほしいところ。
それでいうと、後半の家庭内暴力描写に対する救いは、登場人物達が最後笑っているように全員が笑えるかというと別問題。

正直、すずが庇ったところで家庭が良くなったりとか、相談所がうまく立ち回って保護できるとか、現実じゃあそんなに甘くはないですよね。
そりゃ創作の世界ですから、そういう救いがあってもいいじゃないか、とか、メッセージ性を重視しているからいいじゃないか、とか思うところもあるでしょう。

ですが、折角序盤の美しい描写や素敵な音楽であれだけ楽しめたのに、水に混ざらない油感がまさに浮いておりうまく飲み込めない形でエンディングでした。

映像、音楽で楽しみたい人にはオススメな一作でございます。





歌よ導いて

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