映画レビュー/概要

400本目 ゴジラVSビオランテ
1989年
監督:大森一樹、川北紘一
主演:三田村邦彦
評価:★★★★

あらすじ
ゴジラが新宿を襲ってから一夜。
残骸の中からゴジラ細胞が発見される。
その細胞を巡り、米国のバイオメジャーとサラジア共和国のエージェントが争いはじめる。
その結果、サラジアにゴジラ細胞が渡る。

5年後、三原山内のゴジラを継続し観測していたが、徐々に動きが検知され……。
『ゴジラ(1984)』から5年。
平成元年に公開されたこのゴジラは、後に平成vsシリーズと呼ばれる一連の流れとして『ゴジラvsデストロイア』まで続きます。

今までの昭和シリーズと違い、SF映画感はありつつもコメディ色よりもリアリティに寄せつつあるのが特徴。
とは言っても、今作に登場する権藤吾郎に関しては明らかに『あぶない刑事』に寄せてるような刑事ドラマ感があったりするので、『シン・ゴジラ』と比べてしまうと重みは違います。

更に変わった点といえばゴジラのフォルム。
昭和までの可愛らしい感じが一転し(前作も少し目つき怖かったですが、全体的にちょっと丸みがあり可愛らしさがどことなくある)、初代に近い怖さがありつつ恐竜らしい厳つい顔つきに。
物語に関しては、一般公募を実施。ビオランテという今まで一度も登場したことのないオリジナル怪獣も登場すると共にスーパーXIIなど既存の自衛隊+特撮よろしくなメカも発進。
BGMにはなんと『ドラゴンクエスト』でお馴染みのすぎやまこういち氏が参加し、ゴジラのテーマ以外の箇所を担当。
平成という新たな年号と共に、ゴジラ作品もまた新たになっていきました。

2段階目のインパクト

前作のラストで三原山に落っこちたゴジラはマグマの中でおねんね。
この時点で意味もわからん生き物なのですが、気にせず睡眠中だったゴジラもゆっくり起床しウォーミングアップ。
その後、人間のいざこざのせいで三原山が爆発され復活。

恐ろしい顔をしつつ街を破壊し暴れまわるゴジラはまさに悪夢そのもの。
そんなゴジラと戦うのは、ゴジラの細胞と花と人間の細胞をかけ合わせるという狂気の代物、ビオランテ。
ビオランテはこの作品以外に映像化されておらず、唯一無二の存在です。
※ゴジラ シンギュラポイントのエンディングにはちょこっと出てますけど。

最初は巨大なバラが怪獣化したようなフォルムで、2段階目は植物ゴジラとも呼べる形状に。
そのデザインは一般人が横槍を入れる隙なんてありゃしないくらい完成度の高いものです。
小さい頃ながらに、口を開けるとゴジラの頭がすっぽり入る大きさに慄いていたくらいです。

とはいえ、平成ゴジラは放射熱線の威力も高い。
ほぼ五分と言えるくらいの戦いになったのは、抗核エネルギーバクテリアの存在があったからこそ。
怪獣、メカだけではなく、人間サイドも非常に充実のラインナップ。
平成シリーズの中でもトップクラスに楽しめるゴジラ映画であることは間違いなしだと思います。

権藤吾郎

ゴジラ、ビオランテ、BGM、ストーリー……。
今作には沢山の魅力が詰まっていますが、一つの見出しで書き綴りたい男が一人。

その名も権藤吾郎。

「薬は注射より飲むのに限るぜ、ゴジラさん」
「アーメン」
などなど、数々の名言を作中に残し、1作品しか出ていないにも関わらずその存在感はゴジラと相対しても落ちることなく。
残念ながら彼は命を落としてしまいますが、その功績はゴジラに抗核エネルギーバクテリア入りミサイルを口に入れただけではなく、映画1つに華を添えてくれた偉大な人物になりましたとさ。





「絵に描いたような最悪の事態ですなぁ。  --権藤吾郎」

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