映画レビュー/概要

650本目 ゴジラの逆襲
1955年
監督:小田基義
主演:小泉博
評価:★★★

あらすじ
岩戸島に不時着してしまった同僚を救うため、月岡は飛行機で現地に向かう。
無事に救助できたが、そこでゴジラと争う別の怪獣を目撃する。

再び日本は、ゴジラの恐怖と対峙すると共に、新たな怪獣の脅威に立ち向かうこととなる。
1954年に誕生したゴジラは、世界に名だたる怪獣となった。
それを受け、東宝は別の映画を差し置いてでも続編を作ることにシフト。
急遽制作が決まったもんで、撮影期間に至ってはたったの3ヶ月しかなかったようです。

残念ながら、1作目に山根博士が危惧した2体目のゴジラがスクリーンに登場することとなりました。

しかし、ストーリーは前回と違い反核メッセージが薄れ、怪獣バトルに焦点が移っていきます。
それはそれでアリだと思いますが、いきなり軽々しくなるとどうしてもそのギャップが目についてしまいます。
それも相まって観客動員数と興行収入は当然減ってしまったわけです。

やっぱり、路線変更っていうのは一筋縄ではいかないですなぁ。

青コーナー、アンギラス

ゴジラとアンギラス、2体の怪獣が日本に出現。
慌てふためいたところでオキシジェン・デストロイヤーとその製作者である芹沢博士もこの世に居ない。
山根博士は再び登場しますが、ゴジラに対しては無策であると包み隠さずに話をします。

結論として殺すことは無理だから、とりあえず被害を抑えることにしよう。
という流れに。まー、それしかないですよね。

明かりに対する習性を活かしてなんとか街から遠ざけようとしますが、悪いやつらが火事を起こしちまうもんで、大阪の街が明るく照らされ、ゴジラはお祭り会場を目指して進撃。
それに釣られたアンギラスも参戦。
2対は俊敏な動きで(設定を誤ってしまっただけの模様。ですが、これがまた生き物同士の戦いらしいということで結局採用されたらしいっすね)戦いつつも、やはり強かったゴジラ。

首に噛み付いて倒すという攻撃は平成に入ってからあまり見られなくなっており、昭和ゴジラの王道とも呼べる手段でしょう。(噛みつき攻撃自体はしておりますが、それが決定打になったのは……あ、一応バトラがいましたね)
平成になってからは熱戦が強すぎて原始的な攻撃はバトル中盤のゲージ稼ぎ(格ゲー的表現)でしかないのです。
相手の怪獣が強いからっていうのもありますけど。
そんなこんなで、初登場のアンギラスも見せ場をほぼ作らせることなく退場させる怪獣をう。

そんなアンギラスさんも、後にはゴジラとタッグを組んで戦うようになるっていうんですから世の中わからないものです。
他の種族に対して憎悪をいただく程の怒りはどこに行ったんですかねぇ。
ゴジラと同じく丸くなった?

眠ってもらうのが一番

最終的に氷漬けにすることが一番だろうということで、犠牲を出しつつもなんとか冬眠につかせることに成功。
かくして、ゴジラは眠りにつくことに相成りましたが、その状況通り本当にゴジラ映画はしばらく登場しなくなります。

それ以後、東宝はその他の怪獣映画を制作しにかかります。
ラドン、モスラを生み出し、日本のモンスターバースが誕生。
元祖、ユニバース形式の作品群がここに誕生することになりました。

賛否が多いゴジラ映画ではありますが、ゴジラが初めて怪獣と戦ったという事実は3作目の『キングコング対ゴジラ』においては大変重要な要素だったとも言えるので、今作が決して不要な立ち位置だったかというとそういうわけでもなさそうです。
ストーリーは薄くかつ怪獣同士の対決もまだまだ手探り感は否めなかったかと。

総評としては、ゴジラ映画の歴史を辿る上では当然ながら鑑賞すべきと考えますが、さくっとシリーズを追う上では飛ばされてもやむなしではあるかなぁというところです。
途中で1作目の映像がそのまま流されていますし(明らかに誰かが撮ったアングルとは言いにくいので)、犯罪者脱走の下りもゴジラを誘引するには必要な要素とはいえ面白みがあるかというと特に、というところ。
小さい子が観るよりも、特撮の歴史を追うのが好きな人については是非ご覧いただいた方がいいかもです。

それでは次回、モノクロゴジラ映画からカラー作品への転換と、アメリカのスターとの共演を観ていきましょう。





「小林、ついにゴジラをやっつけたぞ。  --月岡」

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