映画レビュー/概要

699本目 スティング/The Sting
1973年
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
主演:ポール・ニューマン
評価:★★★★

あらすじ
若き詐欺師のフッカーは、とあるギャングに届けられる予定であったお金をだまし取ってしまったがために、命を狙われることに。

彼の師匠は、もうこの仕事から手を引くようにと言われるのだが……。

昔、と言ってもそう遠くない過去くらいの年月ですが、鳴海は”どんでん返し”というワードで映画検索をしてどんな映画があるのか調べたことがありました。

その中でヒットしたのはこのスティング。
アカデミー賞を受賞したこともある今作の知名度は少し調べたらわかるレベルで、大層人気であることを把握しました。
レンタルビデオショップに言っても”不朽の名作”的な推し文句がPOPで記載されていることもありますし、こりゃ絶対に面白いんだろうなーとは思っていた次第です。

ゴールデンウィークに突入したこともあり、どうせ家に籠もるしかない状況ですし、ネットフリックス以外の映画で観たいものを見ようということでチョイスしたのが今作。
(2021年5月当時)

案の定、この作品は最後の最後まで楽しませてくれましたし、何より最後スカッとする終わり方なので万人にオススメしやすいタイプの作品でもあります。

なので、今回は楽しいオチの部分は語らぬようネタバレなしでいかせていただきます。

仕込んで騙して

詐欺師のフッカーは、いつもの通り道端で詐欺行為を働かせていた。
師匠と一緒にいつも通り仕事をしていたが、とあることがきっかけで師匠がヤバい組織に目をつけられてしまい、その復讐をすることに……。

というのが流れです。大分省きましたがなんとなくニュアンスは伝わると思います。
復讐っていうもんですから、暴力的な映画であれば銃でどんぱちするのが普通かもしれませんが、詐欺師のフッカーは頑なに「殺しはしない」の一点張り。
なので、彼は詐欺師らしく騙しで復讐をすることを誓います。

この映画の面白いところは、その復讐を果たすための種まきとそれと並行し進んでいく事柄を客観的に見られるということです。

この手の映画が脚本として巧みなのは、観ているこちらも騙されるような物語の運びになっているということ。
ちょっとでも情報が少なすぎると不満に繋がりますし、多すぎると観ていてわかってしまうからカタルシスが少ない。いかにして観客に見せる情報を制限しつつ、最後の締めを行うのかということですが、スティングは構成として「種まき」「実行」などフェーズの区分けをしっかり観客に伝えた上で話が進むようになっています。

なので、ちょっとばかし難しそうなことをしてそうだと思っていても、ここは何を目的として登場人物達が進めているのかが直感的にわかりやすくなっています。
だからこそ、その直感で観ているだけだと尚更最後のオチに驚きやすくなる、ということにも結びつきます。

そういう意味では、本当に頭を空っぽにして観た方が最高に楽しめる一作かなと。

ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード

言わずとしれたメインキャラクター二人を演じる俳優。
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。

ポール・ニューマンはこの時ぼちぼちいい年齢になっていますが、ロバート・レッドフォードはまだまだ若いですよねー。
彼が後にMCU入りするなんてなぁ。

脚本のみならず、この二人を主軸とする登場人物達の演技もまた光ります。
泣く子も黙る悪の組織をぼったくる、ということではありますがコメディチックに進んでいくノリを完璧に把握しており、こちら側が欲しいリアクションを画面に繰り広げてくれるので心地よさすら感じます。

その心地よさすら、我々の心をぼったくるためのものではありますが、いやはやこれは一本取られた。





「今頃大量のティッシュで涙を拭いてるだろうよ。  --フッカー」

#鳴海の一人でキネマ
#スティング
#映画レビュー