映画レビュー/概要

570本目 X-MEN:ダーク・フェニックス/Dark Phoenix
2019年
監督:サイモン・キンバーグ
主演:ジェームズ・マカヴォイ
評価:★★★

あらすじ
アポカリプスとの戦いから10年が経った。
X-MENにより平和な日々が続いていたが、とある宇宙でのミッションにより、参加していたジーンの身体に異変が起きる。

彼女の中に居る”何か”が目覚め、人類滅亡の危機が訪れる……。

X-MENシリーズラストにして、集大成となるダークフェニックス。
『X-MEN ファイナルディシジョン』でファンから激怒を受けたフェニックスサーガの実写化リベンジとなります。

今後更に加速してもおかしくはなさそうでしたが、20世紀フォックスがディズニー傘下になった=MCU入りという状況を受けて、既存のシリーズがラストに。
これはもう”アレ”をやるしかないということで引っ張ってきたのが、フェニックスのお話だったというわけです。

話をする前にこれを言うのもあれですが、監督としては今作について「描ききれんかった……」という始末。
やはり、ダークフェニックスを実写映画化するのは困難なのか……。

とはいえ、見どころはしっかりとある実写X-MENシリーズ最終作についてお話していきましょう。

フェニックスサーガなのに

最初の3部作で語られたプロフェッサーとの出会いは一旦リセット。
事故の後、プロフェッサーとジーンが出会い、学園に連れて帰ったというお話からスタートです。

X-MENの流れとしては、あのアポカリプスを倒してからずっと平和を保ち、国にも認められて嬉しい状況の中、やっぱりミュータント=フェニックスのせいで人類が大変になるからやっぱりミュータント駄目だわ、で焦るプロフェッサーX。
様式美とはこのことかと思いますが、何度この流れを繰り返せば気が済むんだ……。

人間の歴史は繰り返されると言いますが、それはミュータントにおいても同様みたいで。
これって永遠に終わらないんですかね?

ジーンのためにと思ってやった行動が裏目に出てしまい、偶発的とはいえミスティークも死亡。
ここからどんどんファンの心が離れていくのを画面越しに感じます。
アレほど神格化したキャラクターをさくっと殺してしまうのは、確かにストーリー上では衝撃が大きいかもしれませんが、それがとてつもなく大きな意味を持たない限りは反発を生んでしまうだけかと。

シリーズが20作品以上続く中で強大なヴィランを倒すための犠牲になってしまった、というなら涙も出るってもんですが、これは開いた口が塞がらないだけってな感じで。
物語としては、ミスティークが居なくなったことでプロフェッサーが真っ当に動くようになるっていう動きを作りたかったというのはわかりますが……。

更に意味なくない?って思うのが、マグニートーのところに行ってちょっと喧嘩をふっかけて終わりになったこと。
行き場がなくなったから向かった、というのはいいかもですが、どうしてそんな安住の地を手に入れたのかもわからない(一応説明はあるけど、それで足りてると思えない)マグニートーのところに行って、結局彼が憎しみに心を燃やして戦いにっていう不憫な思いは前作でしたからお腹いっぱい……。

そして何より、重要な登場人物である宇宙人。
描くには少し時間が足りなさすぎたような。
もはやダーク・フェニックスと対峙するにはそういう規模感が必要っていうことは確かかもしれませんが。

最終的には結局X-MEN陣営はみんな一致団結して、宇宙人と対決。
ジーンも宇宙人と離れ、全てを塵に。

あっさり終わってなんとなーく良さげな雰囲気のまま終了。
ファイナルディシジョンよりかはよっぽど楽しめますが、それでもフェニックスサーガとして足りない部分があります。

みんなの大好きウルヴァリンが居ない

やっぱりマグニートー

とはいえ、楽しいシーンはいくつか。
マグニートーが全力でフェニックスと競るシーンは「あのマグニートーですらこんなに苦戦するのか……」と思わされましたし、ジーンがガチで強いことも証明されました。

何より、列車の全員共闘シーンは激アツでした。特に、マグニートーのカッコよさが鰻登り。演者であるマイケル・ファスベンダーがイケメンだからっていうのを除いてもめちゃめちゃかっこいいです。
アメコミ実写作品の中でもベスト10に入れてもいいくらい好きなシーンですね。

とまぁ、最後には褒めて終わりましたが、まだまだフェニックスサーガは楽しくなる可能性があります。

そう、MCUならね。





「誰の血だ?  --マグニートー」

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