映画レビュー/概要

382本目 女王陛下の007/On Her Majesty's Secret Service
1969年
監督:ピーター・ハント
主演:ジョージ・レーゼンビー
評価:★★★

あらすじ
幾度となくボンドを苦しめてきた宿敵、ブロフェルドを追い詰めるべく行動していた007。
その途中で偶然出会った女性、テレサに強く惹かれる。

とうとうブロフェルドを追い詰めるにいたったボンドであったが……。


目次
・唯一にして最も悲しいボンド
・いつものヤツ
・シリーズ屈指の悲しみ



唯一にして最も悲しいボンド

今まで007を演じていたショーン・コネリーから交代し、いわゆる二代目ボンドとして演じたジョージ・レーゼンビー。
あまりにもショーン・コネリーの印象が強すぎたため、公開当時はなかなか受け入れられなかったそうな。気持ちはすごいわかりますけどね。
別のシリーズの話になっちゃいますが、例えばX-MENシリーズでウルヴァリンを演じていたヒュー・ジャックマンから違う俳優さんになったら、みんな抵抗感がとてつもなく出てしまうことでしょう。きっとそれと同じです。

ですが、ストーリー的には以前までの中途半端にわけのわからんコメディとシリアスの間を行ったり来たりしすぎている前作に比べたら、ストーリー性としての楽しみ抜群な今作の方が好みだなぁとは思います。娯楽性っていう意味合いだとショーン・コネリー版の方が大きいですが。

ジョージ・レーゼンビーが一作品だけで終わってしまったのは、どうやら本人が収録中に「次回作以降出ないわ」と決めたからみたいですね。
当時、彼は新人俳優ということでかなりやんちゃなスタイルで現場からマイナスな印象受けまくりだったようですが。

そんなバックグラウンドとは裏腹に、後年あまりにも切ないジェームズ・ボンドとして語られる今作について気にせず触れていくので、未見の方は是非ともブラウザバックしていただきたい。

気にしない方はそのまま下へスクロールを。

いつものヤツ

今回主軸となるのは、いつもの悪の組織スペクター。
その首領となるブロフェルドと対決。

いつも猫を撫でている悪役でしたが、前作より顔も出てきたことで親近感(?)ある悪役に。ちょいとお手軽な感じで出てくるようになった印象がありますね。
ああいう悪役は、更に何作も重ねて、インフィニティ・ストーンを一気に集めて人類を半分滅ぼすくらいの立ち位置に居て欲しいもんです。
あ、それは別の話か。

そんなわけで、今回も世界をどうにかこうにかしようとしているブロフェルド。
世界の破滅と共に進んでいくのが、ボンドの結婚話。
いわゆるボンドガールと呼ばれるヒロインが、毎度毎度ボンドとイチャコラしちゃうわけなんですが、シリーズ毎に担当する役割が違ってきます。

今作のボンドガールはマフィアみたいな組織のボスの娘で、頼むから結婚してくれと007が頼まれるという中々無い筋書き。

アクションについては今までと遜色なく、むしろ雪山シーンは好きな人が多いような気もします。
実際僕もスピーディかつ見やすくて好きですし。

顛末についてはいつも通りボンドが事なきを得て終わるわけですが、問題はラストにあります。

シリーズ屈指の悲しみ

シリアスな007と言えば、昨今のダニエル・クレイグ演じる007シリーズが代表になりますが、今作はその原点に近い悲しみ。

折角幸せを手に入れたボンドが、ブロフェルドによって深い心の傷を負わされるわけです。
当然結末を知らなかった鳴海は「007シリーズらしい、いい感じで終わるエンディングだなー」くらいに見ていたら、突然ブロフェルドが現れて結婚式をぶち壊し。

切ないままに終わっていくエンディング。

『ゴールデンアイ』で育った鳴海としては、こんな悲しい物語の〆があるとは夢にも思ってませんでした。

こんなに印象的でありながらも、ジョージ・レーゼンビーが今作しか登板しなかったのは非常に残念です。





「君を諦めない。  --007」

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