映画レビュー/概要

365本目 ミスト/The Mist
2007年
監督:フランク・ダラボン
主演:トーマス・ジェーン
評価:★★★★★

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あらすじ
嵐の翌日。デヴィッドは息子のビリーを連れ出し、スーパーへと買い出しへ向かった。
買い出しをしている中、一人の男が半狂乱状態でスーパーへと入ってくる。

「霧の中に何かが居る!!!」

一面が霧に覆われ、スーパーに居る客は皆、店内に閉じこもった。
その中で、とてつもない恐怖に見舞われるとも知らずに……。


目次
・スティーブン・キング原作
・本当の怪物(モンスター)は……。
・ネタバレ厳禁 衝撃のラスト

スティーブン・キング原作

いよいよやってまいりました、365本目の作品『ミスト』。
1年で毎日1本ずつ観ていたら、年越しの頃にこの作品を鑑賞することになるわけです。
そう考えると、鳴海のことを悪趣味であると感じる人も居そう……。

でも、ここまでレビューを連続で見てくれている人は、同じ穴のムジナだと確信しているので、まったく気にしちゃいません

さて、本題に入ります。

『ミスト』は『ショーシャンクの空に』『グリーン・マイル』と同様に、スティーブン・キング原作の映画化作品となっています。
DVDのパッケージでも両作品が紹介されていますが、ジャンルとして同じように”泣ける”と思ったら、大間違い。
違う意味で泣かされること間違いなし。

元々、スティーブン・キングは人の精神世界そのものに入り込む力を持った能力者だと思ってますが(※鳴海談)、その系統を引き継いだ『ミスト』は、鑑賞者の人生から絶対に切り離されないよう緻密に構成された映画となっています。

本当の怪物(モンスター)は……。

続きまして本編。

映画の世界において必ず事件が起きるショッピングモールへ主人公とその息子が向かうところからスタート。
突然発生した霧と、不可解な生き物が現れたせいで、そこから出られなくなります。

感動作品であれば、ショッピングモール内の人々が一致団結して怪物と対決したり、脱出までのヒューマンドラマを楽しむところですが、異なる世界線のヒューマンドラマを見せられることになります。

出てくる怪物は、『クローバーフィールド』さながらの巨大生物やら、虫嫌いの人は絶対に見れません。
特に、終盤の蜘蛛っぽい化け物の下りとか、脳裏に焼き付いて絶対に忘れられませんからね。

序盤で登場するデカイ化け物によって、モールに籠もることを余儀なくされた一行。
いつもの世界なら、問題なくハッピーエンドを迎えるであろう主人公も、この世界に生まれてしまったがために壮絶な物語を進んでいくことになります。

イカっぽい何かだったり、蜘蛛っぽい何かだったり。
この世界において、一番のモンスターは何か。

それは、”人間”です。

最初はパニックによって平静を保つことのできない状況でしたが、時々刻々と変わる状況の中で、一人の異端だった女性が徐々に力を持ち始めます。
普段から、宗教って個人の自由だって思っている人が大半だと思います。
でも、この映画を見て宗教というものが怖くなりました。
追い込まれた人間は、自分と同じ宗教を持たぬ人間を簡単に排除できてしまうのです。
自分の保身を一番に考えると、本来であれば正しい行動をしているであろう人物も、ただの悪に成り下がってしまうという恐怖。
これを客観的に見ているからこそ、尚更怖くなるのが今作。

この渦中で一番忘れられないのが、ミセス・カーモディというオバサンモンスター
なんなら、一番のラスボスと言っても過言ではないこのカーモディのせいで、主人公がどんどん窮地に追いやられてしまいます。

本当に怖いのは何か?ということを考えさせられるのもまた、『ミスト』の楽しさかと。

ネタバレ禁止 衝撃のラスト

観終わった後にすぐ寝ようとしていた鳴海の睡眠時間を2時間削ったラストシーン。
この映画を日曜日の夜に鑑賞することは絶対にオススメできませんよね。

あれだけのことがあって、ようやく掴めたかもしれない希望。
絶望の中で、唯一息子を”守る”という選択肢を取ったにも関わらず、その後に用意されたのは息子を自分の手で殺め、自分のみ生き残るという壮絶な終幕。

ちなみにこれは、原作とは違うエンディングで、原作では希望を残した形で終了しています。

原作に忠実じゃないと面白くないと言われるパターンか、原作と外さないと面白くないパターンか、原作有りきの映画化にはいつも課題がつきものですが、今作は成功したパターンではないでしょうか。
実際、原作者であるスティーブン・キングも高評価ですし。

原作の要素をしっかり織り交ぜつつ、最後には観た人が一生心から離れることのないトラウマを植え付けるという芸術。

これこそが、まさに”映画の力”ですね。





「必ずお前を守る。  --デヴィッド・ドレイトン」

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