映画レビュー/概要

231本目 クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲
2001年
監督:原恵一
出演:矢島晶子
評価:★★★★★
※2019年10月29日一部修正

あらすじ
新しく登場した『20世紀博』は、20世紀を知る大人達が楽しめるレジャーランドであった。
家族連れで訪れるものの、楽しむのは子供よりも大人達。
子供は退屈そうな顔で歩き、大人達は昔遊んだオモチャに目を輝かせていた。
野原家も同様に、アクション映画を撮影したり、懐かしの魔法少女に扮したりと、童心に帰れるその空間を楽しんでいた。

とある晩に、突如テレビ放送が流れる。
「明日の朝、迎えに上がります」
その放送を観たひろしとみさえは、ご飯も食べずに寝てしまう。

翌朝、車に乗って2人がどこかへ去ってしまう。
残された子どもたちは、大人だけの帝国、『オトナ帝国』を作るのではないかと考える。

21世紀は全て、20世紀に回帰することになってしまうのか。

野原しんのすけの、”未来”を賭けた戦いが始まる。

目次
・しんちゃんの映画だと侮るなかれ
・懐かしさと新しさの合間
・子供の頃はわからなかった”大人”の苦労



しんちゃんの映画だと侮るなかれ

この作品について思い返していると目頭が熱くなる。

誇張表現ではなく、鳴海は実際にそうなりながら、キーボードをカタカタと打っている。
当時11歳であった鳴海は、小学生ながら、この映画で感動して泣いたのを今でもはっきりと覚えている。
それだけじゃない。何度観たってこの映画は泣けてしまうんです……。
人間の感情に直接訴えかけてくるシーンは、何度でも、いつでも泣けるもの。
そう教えてくれたのは本作。

例え誰が「しんちゃんの映画でしょ?観たって泣けるわけないじゃん」と思っていても、鳴海は”最も泣けるアニメーション映画”と推奨できる逸品です!

さぁさぁ、好き嫌いせずに観てみましょうよ。

懐かしさと新しさの合間

大人の世代と子供の世代には、文化の隔たりが大きくありますよね。
小さい頃に何で育ったのかは、歳が数年違う人と話をしていても驚きがあるように、大人と子供ではまるで異世界の話をしているかのような世界の差がある。

今作では短いながらも、90年以降に生まれた世代が「そんなものあったんだなぁ」と感じられるものが沢山登場します。
行ったことはないが、大阪万博はこのような盛り上がりだったんでしょうねぇ。

特にそれを感じさせるのは、万博でのひろしとみさえの盛り上がり。
しんちゃんとひまわりは(ひまわりはまだ小さいからそもそもわかんないでしょうけど)、まったく面白くないわけです。
それは他の子どもたちも同じで、古臭いものを見て何が楽しいのかなんてさっぱりわからない。
それでも大人たちは子供に戻ったような笑顔で楽しんでいる。

”懐かしい匂い”が無くたって、私達もこうして楽しむコンテンツはありませんか?
鳴海世代で言えば、カードダス初期の遊戯王カードとか、ベイブレードとかです。
完全に世代バレますね(笑)

子供の頃はわからなかった”大人”の苦労

鳴海はまだ家庭を持っちゃいないんですが、社会に出てからの苦労たるやそりゃもうあちこちで死線を掻い潜ってきたので(※個人差はあるところでしょうが、皆さん大変な思いはしているかと)、学生時代と違って世間への目というのは大きく変わってます。
年を追うごとに考え方も知識も目まぐるしく変化していく中で、この映画をその時々に観てみるとこれまた面白い。
特定のシーンを除き、感想が徐々に変わっていくんです。

小さい頃はしんちゃん達の視点。社会人になればひろし達の視点。
そしてきっと、家族を持てば回想シーンで心に刺さる想いはとてつもないものでしょう。

誰しも辿ってきたであろう楽しさ、辛さ、面白さ、悲しさが観ているうちに思い出され、思わず境遇に涙してしまう。
過去の経験が良かれ悪かれ、何が起こるかわからない先のこと”未来”を望むしんちゃんの姿にも涙。

ずっと泣いてばかりな気もするが、クレヨンしんちゃんらしい痛快さやギャグの楽しさも健在。
人生で分岐点に到達した方は、是非この映画を観ていただきたい。





「オラがわかる……?  --野原しんのすけ」

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