映画レビュー/概要

504本目 レディ・ガイ
2018年
監督:ウォルター・ヒル
主演:ミシェル・ロドリゲス

評価:★★

◯ありそうであんまり無い性転換という要素を取り入れた復讐劇という、類を見ない設定で目新しさとインパクト有り。
◯ミシェル・ロドリゲス、どの作品でもそうですがアクションシーンが映えますね。そこもまた加点要素かなと思っています。
△上記の記載と逆ではありますがミシェル・ロドリゲスがかっこいいなと思っていますが、逆に言えばもっと欲しかったんですよね。ドラマパートが復讐劇にしては少し冗長に感じてしまうのが勿体ないなーと。

リアルでこんなことになったら恐ろしすぎる


殺し屋が目覚めたら「女」だった。
いきなりとんでも設定で進んでいく本作の凄腕ヒットマンを演じるミシェル・ロドリゲス。
彼女の印象が『バイオハザード』で色濃く残ってしまっていることはさておき、『ワイルドスピード』シリーズも含めアクション映画では安定の配役といったところ。

この恐ろしい手術を施したのは、狂気の医師役を演じるシガニー・ウィーバー。
彼女も『エイリアン』という代表作品のイメージが引っ張られてしまうところですが、リプリーと違って、「罪を犯した者に相応しい体を与える」というとんでもねぇ歪んだ信念を持っているキャラクターを演じました。

そんな彼女への復讐を行おうとする彼というか彼女?
こういう表現することが憚れる世の中になったので、ネタっぽくいじれないですよね(あくまで映画作品内のキャラのことを、です)。

本作の最大の見どころは、なんといってもミシェル・ロドリゲスの演技。序盤ではヒゲを生やした男性姿のフランクを演じ、違和感なく荒々しい殺し屋像を体現。その後、女性の体になってからも、荒々しさや男らしい仕草を維持しつつ、復讐者としての迫力を増していきます。
性転換というテーマを扱っているため、演技が不自然になりがちなところを、彼女は見事に演じ切りました。アクションシーンも激しく、銃撃戦や肉弾戦の迫力はさすが『ワイルド・スピード』シリーズで培われた彼女の持ち味といえるでしょう。

シガーニー・ウィーバー演じるレイチェルは、フランクに性転換手術を施したことを「罰」としてではなく、「新しい生き方のチャンス」だと歪んだ解釈で語ります。観客としては彼女の論理が異常だとわかりつつも、どこか説得力を持ってしまう点が怖いところです。冷酷でありながら品格のある演技で、ただの悪役ではない魅力を感じさせます。
ヤバい倫理観を持った悪役って映画界では結構多く居ますからね。彼女もその一人ってわけです。

『レディ・ガイ』は、復讐劇としての王道を踏みながらも、ノワール映画の雰囲気を持っています。全体的に暗いトーンの映像、ハードボイルドなセリフ回し、そして乾いたユーモアが漂うストーリー展開が特徴的。
それがまたなんとなく雰囲気が変わらず飽きてくる要素でもあるなと思った箇所です。

また、アクションシーンは容赦なく暴力的で、銃撃戦や肉弾戦がハードな描写で描かれます。フランクは元の男らしい戦闘スタイルを維持しながら、女性の体になったことで新たな戦い方を模索していく姿が楽しめるポイントかなーと。

アクション映画が好きな人、ノワール作品の雰囲気を楽しみたい人にとっては、間違いなく一見の価値あり。ただし、倫理的な問題やストーリーの単純さが気になる人には向かないかもしれません。
いや、単純でもいいんですがそれであればもっとアクションシーン多かったな、というのが鳴海の意見です。

気になる方は、アクション映画はとりあえず好きで100円使ってもいいか、と思うのであればご覧いただければと思います。





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