64本目 らせん

1998年
監督:飯田譲治
主演:佐藤浩市
評価:★★★

子供の頃は難しくてよくわからなかったが、今観ると原作をなぞろうとしたSFとジャパニーズホラーをミックスした作品だということがわかる。
科学と恐怖を結びつける論理、考えながら鑑賞するには非常に楽しい。





リングの続き

鳴海にトラウマを植え付けた作品と同時上映されていた『らせん』。
”呪い”というオカルトやホラーの概念を、科学と結びつけていく流れは原作そのもの。

単純に『リング』の続きだからと言って、怖がるために観る映画ではない。
どちらかというと、登場する単語や登場人物を頭の中で整理しつつ、物語の展開の意味を深く考えたい人にとっては非常に楽しい。

難しい場面も多く存在するため(※なんでその”姿”なの?とか、あの行動にはどんな意味が…とか、それ本当に呪い?みたいなあれこれ。子供には到底理解できない)。

呪いのビデオ=病原菌に感染する手段だとしたら?

呪われた人間が死ぬというのは、あまりにも非科学的な話。
現代においてもその実態は明らかにされているものではない。

本当に幽霊は存在するのか?とか、生き物に魂というのもは本当に宿っているのか?というのは2017年現在でも証明されていない。

そこがまた面白いところであり、この映画においても考えさせられるものだ。

呪いのビデオを鑑賞したものは、病原菌に感染する(※厳密に言えば、体内に眠っているウイルスが云々…)。
その謎を主人公は解こうとするのだが、ここからが更に難しいところで。。。

山村貞子という存在の描写

昨今の『貞子』というキャラクターは、万人を呪い殺す力を持ったホラークイーンであるが、この作品を観るとそのイメージが少し変わる。

出自に関しては同じだが、『らせん』においてはなんと生き返ってしまう。
人を呪って殺す恐怖を体験したいと思っていた方にとっては、あまりにも拍子抜けな展開が続いてしまう。

原作に忠実に再現しようとしていたとはいえ、その説明に?となってしまうタイミングもしばしば。
前作のキャラが呆気なくストーリーから離れていってしまうのも、味気なく感じる。

一度観るには楽しめても、リピートして何度も、というにはカタルシスが薄い。
前作のインパクトが、あまりにも大きかった弊害とも言える。

それほどまでに、『貞子』というキャラクターが際立ってしまったのである。
その恐ろしさは、次回作へ踏襲されることに。


「ひどいことするなぁ。  --高山竜司」

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